#元気いただきますプロジェクトNEWS:牛根漁業協同組合 ブランド認知が拡大

水産加工 特集 2021.02.22 12191号 10面
脇元浩継参事

脇元浩継参事

牛根漁業協同組合は鹿児島県で初めてブリの養殖を手掛けた(写真は同組合事務所)

牛根漁業協同組合は鹿児島県で初めてブリの養殖を手掛けた(写真は同組合事務所)

 ◇地域の創意による販売促進事業=牛根漁業協同組合

 ●相互扶助の力発揮

 牛根漁業協同組合は1949年に設立された。59年には鹿児島県で最初にブリ養殖を開始。現在正組合員数は約180人。養殖ブリ(出荷額の8割以上)を中心に、養殖カンパチ、マダイ、カタクチイワシ、タチウオといった魚種を扱う。2018年度からは漁船漁業者によるカキ類の養殖、カキ小屋運営をスタート。新たな漁業収入源として打ち出し、漁家経営の安定化に努めている。

 同組合はもともと養殖ブリの約7割を北米に輸出していた。新型コロナの影響が広がると、販路が閉ざされ在庫が滞留。国内での販路を広げるため、今回「#元気いただきますプロジェクト」に参画した。

 脇元浩継参事は、「養殖ブリは海外向けが主体で、国内の販路は減少してきていた。そんな中、売り先を失った魚を有効に解消しなければならない苦しい状況に直面した。一方、今になって国内で販売先を開拓するのは非常に難しい。『漁協単体で』となればなおさらだ。そうした意味で、『#元気いただきますプロジェクト』で消費者にブリを届けることができ本当に助かった」と語った。「#元気いただきますプロジェクト」の「地域の創意による販売促進事業」には食材費の支援やイベント・広告宣伝費などの2分の1を支援する制度がある。

 同組合の「ぶり大将」は、鹿児島県ブランド魚「かごしまのさかな」にも認定されている。漁場は鹿児島湾の中にあるため、水温が安定し一年中給餌することが可能。成長が早く脂がのりやすいのが同組合のブリの特徴だとしている。

 ブランド名を貼った商品は、「#元気いただきますプロジェクト」で多くの消費者に購入され「ぶり大将」の認知を拡大できたという。国内でいかに価値を高め、安定的な支持につなげていくか。これを今後の課題に据える。

 生産者支援関連では、中小規模の漁業者が非常時の業務負担に苦労している現状に懸念を示す。今後は補助金申請だけでなく、漁協のホームページやSNSでの発信などで、相互扶助組織としての役割を果たしていきたいとしている。一度途絶えた産業の再開は継続よりも難しい。これを踏まえ、現状を外部へ発信し多くの人に興味を持ってもらえる環境を目指す。

 「#元気いただきますプロジェクト」の特徴に、「商品と各企業が創意工夫し発信する情報がセットになっている」点を挙げる。消費者に対しては、「ぜひこれを機会に、参加企業の食材への理解を深め、話題にしたり、目にした際に思い出したりしてほしい」と呼びかける。結果として、商品の購入や利用につながるとありがたいとしている。(大屋良太)

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