ナチュラルチーズ輸入量、14年以来の減少 家庭用・業務用、消費に明暗
2020年1~12月のナチュラルチーズ(NC)輸入量が、14年以来の減少に転じたことが、財務省が1月28日に公表した「貿易統計」から分かった。コロナ禍による業務用の苦戦と「巣ごもり消費」による家庭用の伸長が、カテゴリーごとにくっきりと表れた。1月に入ってからも国内では緊急事態宣言の発令など生活様式への影響はさらに続いており、感染拡大の長期化による物流・消費動向には一層の注視が必要だ。(小澤弘教)
20年のNC輸入量は前年比3.8%減の28万2467t。月別の推移を見ても、前年比2桁減での低位が続いており、特に2~4月は約4割減と落ち込んだ。前年まで旺盛な需要に下支えされ伸長していたが外食、ホテル、土産物など業務用需要の激減が大きく影響。カテゴリー別にも増減が表れ、フレッシュチーズ(熟成していないもの、ホエイチーズを含む)は1年を通じて同16.5%減の8万5481t、チェダー・ゴーダ(関税割当分)は同5.0%減の3万0103tとなった。
一方、内食化の定着などで家庭でのチーズ消費量は増加。デリバリーやテークアウトなど中食需要も高い。特に感染拡大初期に需要が増大したナチュラルチーズパウダーは同0.4%増の3497t、クリームチーズなどを含むチーズおよびカードは同4.9%増の16万2361tと前年を上回った。また、ブルーチーズ(その他)は同18.3%減の1025tだった。
感染拡大初期は、リーファーコンテナが滞留したことで、2~4月に納品の遅れが発生したり、航空便のストップなどでフレッシュチーズの輸入が一時滞ったりするなどの影響があった。ここにきて、コロナ禍からの回復が進む国や地域が出てきたことで、再びコンテナの滞留などの懸念が生じているもよう。加えて冷蔵庫スペースの逼迫(ひっぱく)や、輸送コストの上昇傾向も課題として大きく、物流面での注視は引き続き必要だ。