大手卸第1四半期、取引・事業構造で明暗 SM大幅増、業務用CVSは苦戦

卸・商社 ニュース 2020.08.12 12095号 01面

 大手食品卸の第1四半期業績は、取引・事業構造の違いで明暗が分かれた。緊急事態宣言の期間を含む4~6月は内食需要の急増でSM向けの売上げが大幅に伸長した一方、CVSや業務用事業が苦戦。その傾向が業績にも反映され、SMやDgSとの取引が多い卸は大幅増益となり、外食比率の高い卸は減益を強いられた。全般に売上総利益率(売総率)は悪化傾向だが、物流与件の緩和が進む動きもあり一部で販管費率が改善する動きも表面化。カテゴリー別ではドライグロサリーが極端な伸びを示した半面、これまで業界の成長をけん引してきた低温事業が不振となる異例の事態となった。(篠田博一)

 ●物流異常事態でコスト環境変化

 11日までに第1四半期決算を開示した21年3月期決算の総合大手卸の業績を見ると、三菱食品は減収増益、日本アクセスは増収減益、伊藤忠食品は増収増益と三者三様の着地だ。売上高の増減は取引変更など各社の個別事情もあるが、日本アクセスが33%の営業減益、伊藤忠食品が311%の営業増益になるなど、期間中の食品流通が置かれた未曽有の事態を物語る。

 第1四半期は政府が発令した緊急事態宣言の期間(4月7日~5月25日)と丸々重なったことで、外出自粛やテレワーク、外食産業の休業・営業自粛といった影響が顕著に表れた格好となった。

 三菱食品はSM(GMS含む)が前年比3.0%増、DgS同13.8%増と好調な伸びを確保し、伊藤忠食品もSMは11.2%増になるなど、買いだめ需要はじめ家庭用の供給が急増したことを表す。一方でCVSはテレワークの拡大でオフィス街の需要が激減するなど苦戦。三菱食品はローソン、伊藤忠食品はセブンイレブンの主要取引卸を担っており、それぞれ9.4%減、1.9%減の着地となった。

 日本アクセスは業態別概況は公表していないが、減益要因を「CVS・外食チェーン通過額減少によるロジ事業の売総率悪化」および販管費率の増加としている。同社の19年度業績にファミリーマートを主体とするCVS事業、外食・デリカなど業務用事業の構成比が約44%を占めたことを考慮すると、この数値は他の2社を大きく上回る。そうした独自の取引構造が収益悪化の直接要因となった様子だ。

 ●業務用や粗利の高い

 低温商材の苦戦なども響き各社の売総率は悪化傾向だが、緊急事態宣言時の食品物流の異常事態が販管費率の改善に一部寄与した動きもみられる。

 3~5月ごろは休校や外出自粛が重なり、SMに客が殺到。パートなどの人手不足が顕在化する中、卸は物流センターに社員を派遣して供給業務を継続するなど忙殺された。物量が平時の数倍に膨らむ中、ピースからケース・ボール単位の取引が許容されるなど合理化が進んだほか、休業影響を受けた異業種ドライバーの労働力を確保できるメリットもあった様子だ。

 原油価格の下落なども追い風となり、各社の販管費率は三菱食品(0.31ポイント減/6.08%)、伊藤忠食品(0.48ポイント減/4.49%)など改善を示した。

最大30日間無料購読する

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら