食品産業文化振興会、宮永雅好氏が講演 企業情報開示考える
●統合報告の重要性と最新の潮流
日本食糧新聞社が主催する食品産業文化振興会は15日、講師に中央大学ビジネススクール特任教授の宮永雅好氏を迎えて「21世紀の企業情報開示を考える 統合報告の重要性と最新の潮流について」をテーマに東京・八丁堀の食情報館で例会を開催した。宮永氏は、国際的な研究組織であるWICIで専務理事も務め、統合報告(※)を中心に組織の見えない資産や広義の企業価値に関する情報開示の研究を進めている。「ESG時代の新たな経営は、求められるESG情報をすべて集約した『統合思考』経営になっていく」と語り、「統合思考と統合報告の循環で効率的かつ生産的な資本の分配がもたらされ、それによって金融安定と持続可能性につながる」とした。
宮永氏は「20世紀は人類史上かつてない成長の時代として、後半には人口が2.4倍、穀物消費が4倍強、石油消費量が7.3倍、発電量が21倍と地球に負荷をかけてきている」と紹介し、20世紀の人類の繁栄における功罪として持続可能性やESGの大切さを説いた。近年、ESGで非財務情報の開示が重要性を増していると指摘した。「企業と投資家が対話を促進するための情報ツールとして『統合報告書』が注目されている」とし、「また同時に、組織全体の過去・将来の情報を、より網羅的・体系的に理解しやすくすることで、持続可能性のある国際経済モデル構築要請にも応える」と語った。
※統合報告=企業の財務情報と環境・CSR、ガバナンス、知的資産、今後の事業展開とその見通しなどの情報を明瞭簡潔に、一貫性、比較可能性のある形式で統合してまとめた報告書(宇津木宏昌)












