食品産業文化振興会 新会長に田中茂治氏 問題意識共有し課題解決へ

ニュース 総合 2024.05.31 12764号 01面
田中茂治氏

田中茂治氏

 食品流通産業の近未来と新しい活力、課題解決を読み解き探る–を旗印に活動を続けている食品産業文化振興会(日本食糧新聞社制定・主催)は、3日から10代目会長に田中茂治氏(日本アクセス元社長・伊藤忠商事理事)を迎え、設立26年目の第9次活動を再スタートした。

 食品産業文化振興会は、日本食糧新聞社が1999年、有力食品・流通企業の協力支援の下に発足した。ちょうど20世紀から21世紀へと世紀の移り変わる時期でもあり、食品・流通産業のさらなる繁栄と躍進を求めて、研さん・研修を重ねてきた。これまで有力企業の企画参画型による取組み課題とテーマを掲げて3年間を一区切りに、26年間にわたって食品産業の課題克服へ横断的に挑戦、その活動が高く評価されている。

 歴代会長には、初代名誉会長に日清食品創業者会長・故安藤百福氏、初代会長に味の素元社長・歌田勝弘氏、第2代会長にアサヒビール元社長・故瀬戸雄三氏、第3・4代会長に菱食元社長・廣田正氏、第5代会長にキユーピー元社長・鈴木豊氏、第6・7・8・9代会長に三菱食品元会長・故中野勘治氏が就任している。

 課題テーマ設定には、従来通り各業種トップ企業19社(生産13社、流通6社)の第一線に立つ経営企画、営業統括、広報・IR部門などの担当者で構成する企画委員会を年2回開催。課題解決に向けた優先テーマを設け、時には緊急性のテーマも入れるなど、斯界(しかい)の第一人者を講師に招いてセミナーを開催。さらに、関係諸省庁からの食品産業に関わる諸制度の制定・改定などの情報収集活動にいち早く対応し、資料の収集、資料作成にも力を入れている。

 これまでの経験と実績をベースに積極的な食品産業の横断的連携強化と必要な情報共有、提供の場としての組織強化から、中堅企業が参加しやすい6ヵ月払いの会費制の導入やセミナーのライブ配信などの改革を図り、中堅企業をはじめ多くの企業への参加を呼び掛けていく。同時に関係行政との連携も視野に食品産業全体の活性化、発展につなげていく。(安田陽子)

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 田中茂治会長の話 日本の食品産業は現在多くの問題に直面しています。例えば、国内では「少子高齢化による食品市場の縮小」「担い手不足による農水産業の衰退」「供給過剰と低い生産性」「食物汚染による健康被害」など。また海外では「気候変動等による食糧減産と価格高騰」「世界人口急増による食料不足」など、問題が山積みです。これら問題を解決するためには、食品産業に携わるわれわれ一人一人が問題意識を共有した上で一体となって取り組むことが必要です。食品産業文化振興会はそのために存在するわけで、運営目的は学術的な知見や民間現場の知恵を結集することで問題解決のヒントを見いだすことにあると思います。このほど急逝された中野勘治さまの後任として会長に就任するに当たり、食品産業が一体となって問題意識を共有し課題解決に努力することを、中野さまの御霊前に心して誓いたいと思います。

 ▽問い合わせ・入会申込先=食品産業文化振興会事務局(電話03・3537・1310、FAX03・3537・1071、中山、安田、貞苅、宇津木)

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