第57回食品産業功労賞受賞者決まる 生産5・技術1・流通4・外食3・国際4人
8月1日に東京・紀尾井町のホテルニューオータニ東京で開かれた第57回食品産業功労賞選考委員会
左から長部訓子氏、筏純一氏、青木時男氏
左から坂本精志氏、和田博行氏、中野祥三郎氏
左から田尻一氏、久世健吉氏、尾家啓二氏
左から宗次徳二氏、平井浩一郎氏、丸谷智保氏
左から江上栄子氏、石毛直道氏、渡邊直人氏
左から村田吉弘氏、熊谷真菜氏
【選考委員】左から大河原愛子氏、歌田勝弘氏、浅野茂太郎氏、櫻庭英悦氏
【選考委員】左から正田修氏、國分勘兵衛氏、小路明善氏、垣添直也氏
【選考委員】左から今野正義本紙会長、茂木友三郎氏、田中茂治氏
◆業界発展への輝く功績たたえる 11月5日贈呈式 選考委、満場一致で選出
日本食糧新聞社制定第57回(令和6年度)食品産業功労賞は、11月5日午後2時から東京・紀尾井町のホテルニューオータニ東京で贈呈式が開催される。今回は生産部門5氏、技術部門1氏、流通・情報部門4氏、外食・中食部門3氏、国際・食文化部門4氏の17人が受賞する。国際的や食文化で活躍された方が現在の4部門にあてはまらないため「国際・食文化部門」を今回新たに創設した。中食が、個食化、家庭での料理の簡便性などの要因で順調に伸びているため「外食部門」から「外食・中食部門」に変更した。第57回食品産業功労賞選考委員会は8月1日午後3時から同ホテルで開かれた。
全国8地域32人の既受賞者による推薦制度に基づき、関係業界と地区活動において選考基準にかなう候補者の推薦があり、選考委員会に上程された。それらの方々を含めて斯界(しかい)の権威である選考委員による慎重な討議の結果、今回の受賞者が満場一致で選出された。食品産業功労賞は日本食糧新聞創刊25周年を記念して、わが国食品産業界の発展と隆盛に大きく貢献し、偉大な功績を残してきた功労者の顕彰を目的として、昭和42(1967)年に農林水産省後援の下に制定した。第57回までに生産部門で357人、技術106人、流通・情報199人、外食・中食39人、国際・食文化部門4人、特別賞19人の累計724人が受賞している。(安田陽子)
◆食品産業功労賞 選考委員(敬称略)
▽委員長=櫻庭英悦(農林水産省食料産業局元局長/高崎健康福祉大学特命学長補佐・客員教授)
▽選考委員=浅野茂太郎(明治ホールディングス元社長)、歌田勝弘(味の素元社長)、大河原愛子(デルソーレ前代表取締役会長)、垣添直也(ニッスイ元社長)、小路明善(アサヒグループホールディングス取締役会長兼取締役会議長)、國分勘兵衛(国分グループ本社代表取締役会長兼CEO)、正田修(日清製粉グループ本社名誉会長相談役)、田中茂治(日本アクセス元社長/伊藤忠商事理事)、茂木友三郎(キッコーマン取締役名誉会長・取締役会議長)、今野正義(日本食糧新聞社代表取締役会長CEO)
◆第57回食品産業功労賞受賞者
〈生産部門〉
●青木時男氏(あおき・ときお)
マルコメ代表取締役社長=1957年2月26日生まれ、長崎県出身。79年慶應義塾大学商学部卒業。食品卸会社を経て84年マルコメ味噌(現・マルコメ)入社。98年代表取締役社長に就任。長野県味噌工業協同組合連合会長、日本大豆ミート協会長。
味噌のトップメーカー、マルコメのリーダーとして、国内はもとより世界の味噌、和食需要拡大に貢献。23年に地元・長野県で発酵食品に携わる企業、業界が垣根を越えて連携した「発酵バレーNAGANO」が発足。初代理事長として、その魅力を国内外に発信している。
使いやすさを追求した液状味噌「液みそ」シリーズ(09年~)、「糀」が持つ自然の甘さを味噌や甘酒、塩糀など多彩な形で提案する「プラス糀」シリーズ(12年~)、環境配慮とサステナビリティでニーズが広がる大豆ミートなどの「ダイズラボ」シリーズ(15年~)を次々と発売。食やライフスタイルの多様化をとらえた商品展開で新機軸を打ち出し、伝統的な味噌・大豆加工産業の活性化に尽力している。
●筏純一氏(いかだ・じゅんいち)
リボン食品代表取締役会長=1950年7月15日生まれ、大阪府出身。73年同志社大学文学部卒業。77年リボン食品入社。81年リボン食品専務取締役、83年代表取締役社長、2018年代表取締役会長(現職)。
日本初のマーガリン製造を成し遂げた企業としてのパイオニア精神に基づき、1970年に日本初の冷凍パイ生地製造を手掛ける。解凍して焼くだけでパイ料理が作れる簡便さに加え、食品としての完成度の高さからレストランシェフをはじめとしたプロより高い評価を得た。現在は焼成冷凍パイの製造も行い、パイ冷凍生地およびパイ関係食品製造事業は主力カテゴリーに成長している。パイで培った油脂と小麦を扱うノウハウを生かし、73年に冷凍ホットケーキ、79年に冷凍デザートケーキも販売。いずれも日本初となる。筏氏の潜在ニーズを見抜く洞察力、柔軟な発想力、何事にも果敢に挑む行動力は、同社の企業文化として脈々と受け継がれている。
●長部訓子氏(おさべ・くにこ)
大関代表取締役社長=1957年3月22日生まれ、兵庫県出身。甲南女子高校中退。2003年大関入社、社外監査役就任。15年取締役経営企画担当、16年代表取締役専務、17年代表取締役社長に就任。
長部氏は1711年創醸の300年を超える大関の歴史の中で、2017年に女性初の社長に就任。24年で発売60周年を迎える「ワンカップ大関」では、ガラス瓶の軽量化や利便性で容器改善を重ねるとともにアーティストやアニメなどとさまざまなコラボ企画も展開。基幹ブランドのさらなる普及に取り組んできた。21年の創醸310周年の際には、創醸時の屋号である「大坂屋(おおざかや)」を冠した新ブランド「創家 大坂屋」を立ち上げた。
若年層・女性向けのにごり酒の発売や、酒造りの発酵技術を生かした酒類以外の商品群の新ブランド「大関醸す」で、新規客層の開拓を図っている。
小売業と協力した食とのクロスMDやDXの活用など、売場と連動した販促を強化。酒類で日本初の有機JAS認証を受けた「#J(ハッシュタグジェイ)」の発売など、未来を見据え「大関」の価値を高めている。
●中野祥三郎氏(なかの・しょうざぶろう)
キッコーマン代表取締役社長CEO、キッコーマン食品代表取締役社長=1957年3月28日生まれ、千葉県出身。81年3月慶応義塾大学大学院経営管理研究科修了、81年4月キッコーマン入社。2019年6月代表取締役専務執行役員キッコーマン食品代表取締役社長、21年6月キッコーマン代表取締役社長COO、23年6月CEOに就任。
祖業の醤油は品質を常温で保つ「いつでも新鮮」を育て、トップシェアの家庭用売上げの半分以上を占めるまで成長させた。人口減の成熟市場で価値、収益力を高める成功例を示し、醤油業界の発展に貢献した。
連結業績の最高更新をけん引する海外売上げは7割超。本醸造醤油の食材を引き立てる汎用性、国際性を強みに現地化している。先行する米国で身近な肉料理との好相性を生かし、「テリヤキソース」や日常使いのレシピを開発。卸売の調達力、売場の管理機能も駆使した展開を世界に広げ、各国の食文化と着実に融合している。
●和田博行氏(わだ・ひろゆき)
キンレイ代表取締役副会長=1956年11月生まれ、大阪府出身。79年4月近畿冷熱(キンレイ前身)入社。99年食品事業本部長、2006年食品事業カンパニーCOO、08年執行役員食品事業カンパニーCOO、14年代表取締役社長、22年代表取締役副会長、現在に至る。
14年、月桂冠の傘下として事業を再スタートした新生キンレイの社長に、前身の近畿冷熱からの生粋の生え抜き社員として就任。ものづくりの理念に磨きをかけ、キンレイの味づくりに注力を図った。
社長就任後から、「味の探求プロジェクト」「理念浸透プロジェクト」「CSRプロジェクト」などの社内プロジェクトの立ち上げと実行により、商品力を通じて生活者から愛されるメーカーへの成長を目指した。
CVS向け「鍋焼うどん」や業務用商品、生協向け商品、家庭用の「お水がいらない」シリーズなどの商品をヒットさせることで、社長就任期間(14~22年)の約9年間で同社売上高を約80億円から約160億円と倍増させた。
社外では日本冷凍めん協会の会長を16年から20年まで2期4年務め、冷凍麺市場の成長と安全・安心への取り組み、特に冷凍麺工場での品質保証体制向上に向けた管理体制づくりに尽力した。
〈技術部門〉
●坂本精志氏(さかもと・せいし)
ホシザキ取締役会長=1937年2月7日生まれ、愛知県出身。1959年慶應義塾大学工学部機械科卒業後、星崎電機(現ホシザキ)に入社。これまで本社営業部長兼東京支店長や専務取締役大阪支店長、星崎工業(現ネスター)代表取締役など、重要役職を歴任。2019年6月にホシザキ取締役会長に就任(現職)。
国内初の全自動製氷機の開発において中心的な役割を担い、業務用厨房機器メーカーとしての確固たる地位確立に貢献した。同時に直販を基本とする販売戦略を打ち出し、不具合には迅速に対応するなど、信用獲得にも尽力。同社独自の販売・サービス体制を構築したほか、現在の多彩な製品ラインアップの実現にも大きく貢献した。
さらに「業界世界一」という野心的な目標を掲げ、81年には「ホシザキアメリカ」を設立し、米国市場の開拓に乗り出す。その後、欧州、アジアでも海外事業を推進。現在、同社が欧米を中心に積極的にM&Aを行いながら成長を続ける礎を作り上げた。
〈流通・情報部門〉
●尾家啓二氏(おいえ・けいじ)
尾家産業代表取締役会長=1948年10月23日生まれ、大阪府出身。73年3月関西大学卒業後、日魯漁業(現・マルハニチロ)、加藤産業を経て、78年4月に尾家産業入社。同社管理畑をすべて経験した後、2004年6月の東証一部上場を機に代表取締役社長に就任。外食産業を支える全国業務用食品卸として売上げ1000億円を目指す中、長時間労働、人材教育、評価制度の課題解決が優先事項と会社方針を「いい会社づくり」へ方向転換。売上げ至上主義から一転し、労働環境改善と人材教育が軸の人事制度は社員の士気を上げ、社風も変えた。
業界でいち早く取り組んだ高齢者施設や病院への「やさしいメニュー」提案は超高齢化社会の「食」を豊かにし、中食、宿泊業態の開拓で現代の多様なニーズに合致する「食」も提供し、19年に1000億円企業の仲間入りを果たす。
コロナ禍に2期連続赤字を経験するも、構造改革で業績のV字回復と盤石な企業体質を獲得し、業界の活性化とイメージ向上にも貢献した。
●久世健吉氏(くぜ・けんきち)
久世取締役会長=1945年8月30日生まれ、東京都出身。68年早稲田大学第一商学部卒業。70年久世入社。74年専務取締役、78年代表取締役副社長、79年キスコフーズ代表取締役社長、90年久世代表取締役社長、2010年キスコフーズ取締役、12年久華世(成都)商貿有限公司董事長、13年久華世(成都)商貿有限公司董事、17年久世代表取締役会長、24年取締役会長。
「システムで 運ぶ つくる 考える“頼れる食のパートナー”」をスローガンに掲げ、フードサービスソリューション・カンパニーとして外食のお客さまの繁盛店づくりを支援。1983年に品質管理部門を設置、さらに2013年にISO22000の認証を取得し、商品の品質だけではなく営業から物流まですべての業務の品質を向上させ、顧客に「安全・安心」を届ける体制を構築。
フルラインのニーズに対応するため、09年に青果を取り扱う久世フレッシュ・ワンを設立、14年に鮮魚を扱う旭水産をグループ化するなど業界に新風を吹き込んできた。
●田尻一氏(たじり・はじめ)
サミット元代表取締役社長、オール日本スーパーマーケット協会会長=1956年4月5日生まれ、秋田県出身。79年日本大学芸術学部卒業、同年4月サミットストア(現・サミット)入社。2001年取締役、03年常務取締役、06年専務取締役、07年代表取締役社長、17年退任。04年オール日本スーパーマーケット協会理事、05年副会長、15年会長(現職)。
サミット代表取締役社長就任後は、次世代型SM(スーパーマーケット)の創造を目指した「MD革新プロジェクト」を展開し、品揃えや売場づくり、接客のあり方など、さまざまな視点でSMにおける「地域密着」の重要性を実践。同社を日本有数のSMに成長させた。
また、オール日本スーパーマーケット会長としては、「知恵の共同仕入れ」を理念に、「教育」「商品」「情報」の三つの側面から会員企業をサポートし、SM業界の発展に尽力している。
●丸谷智保氏(まるたに・ともやす)
セコマ代表取締役会長=1954年9月24日生まれ、北海道出身。慶應義塾大学法学部卒業。79年北海道拓殖銀行入行、98年シティバンク、エヌ・エイ入行、2007年にセイコーマート(現・セコマ)入社。専務取締役、取締役副社長、代表取締役社長を経て20年代表取締役会長(現職)。北海道経済同友会代表幹事、北海道経済連合会常任理事。
丸谷氏は原材料の生産・調達、製造、物流、卸、小売をつなぐセコマサプライチェーン推進に尽力。コンビニエンスストア「セイコーマート」をはじめとするセコマグループの小売店舗は、北海道175市町村に1244店(7月末現在)、道内カバー率99.8%であり、茨城県・埼玉県にも展開する。
日本生産性本部が発表した24年度日本版顧客満足度指数調査のコンビニ部門で顧客満足度1位を9年連続で獲得。18年9月に発生した北海道胆振東部地震による道内全域停電の際、多くの商業施設が休業する中で95%以上の店舗が営業を続け、ライフラインを支え「セイコーマートの神対応」と注目された。
〈外食・中食部門〉
●平井浩一郎氏(ひらい・こういちろう)
ヒライ代表取締役社長=1956年5月29日生まれ、熊本県出身。日本大学経済学部卒業。1979年、ロイヤル(現・ロイヤルホールディングス)入社。その後、カネ美食品を経て1982年10月、ヒライに入社した。93年に常務取締役、95年に代表取締役専務、そして98年に代表取締役社長就任。以降、病院給食や企業内食堂へ参入。2009年にはホールディングス制へ組織変更を実施した。主力の惣菜店舗は、ロードサイド店舗のみならず、小型スーパーから大規模ショッピングセンターなどのテナントとしても展開中。今後は北部九州を重点地区として九州各県で300店体制を目指しているところ。
また社外では、公益財団法人・経営者顕彰財団の第46回(2018年度)経営者賞も受賞している。さらに2020年には一般社団法人・日本惣菜協会の第11代会長に就任。惣菜市場拡大への対応を進めつつ、同協会会員企業とともに、業界課題解決に向けて尽力している。
●宗次徳二氏(むねつぐ・とくじ)
壱番屋創業者=1948年生まれ、石川県出身。67年愛知県立小牧高等学校卒業。67年八洲開発入社、70年大和ハウス工業入社。78年カレーハウスCoCo壱番屋創業。82年壱番屋を設立して代表取締役社長に、98年会長に就任。2002年壱番屋の役員を退任。03年NPOイエロー・エンジェルを設立、理事長に就任。07年クラシック専用の宗次ホールを開業し、代表に就任。
宗次代表は、カレーの専門店としてカレーハウスCoCo壱番屋を創業。今や国内外・新業態合わせて約1450店舗を展開している。28年余に及んだその経営を信頼できる後継者に委ね、社会福祉活動と経営姿勢を伝えるため、講演活動に力を入れている。また、クラシック専用の宗次ホールを開業し、交響楽団やオペラ振興会の理事に就任以降、演奏家への支援とクラシック音楽の普及活動にも尽力している。
●渡邊直人氏(わたなべ・なおと)
王将フードサービス代表取締役社長=1955年8月19日生まれ、大阪府出身。79年桃山学院大学経済学部を卒業後、王将フードサービス(旧・王将チェーン)に入社。2004年取締役、08年常務取締役、13年代表取締役社長就任(現職)。
社長就任以降、原材料の国産化に加え、新たな生産拠点の建設と成形餃子生産システムの導入により、商品の品質向上を実現。女性客をメーンターゲットとした新コンセプト店舗の出店や新商品の開発により、幅広い顧客層へ商品の魅力を浸透させた。コロナ禍には、テークアウトやデリバリーサービスを強化し、店外売上げを大幅に拡大した。
さらに社内教育機関を設立し、従業員の教育体制を充実させることにより、QSC(クオリティー、サービス、クレンリネス)レベルを高めた。高品質な料理が客数の増加につながり、24年3月期には創業以来、初めて売上高1000億円を超える業績を達成。過去最高の売上げを更新し続けている。
〈国際・食文化部門〉
●石毛直道氏(いしげ・なおみち)
国立民族学博物館名誉教授=1937年11月生まれ、千葉県出身。京都大学文学部史学科卒業、同大学院文化研究科(考古学)修士課程中退。文化人類学の分野で、従来中心的なテーマとされることのなかった「食」について、パイオニアかつフロントランナーとして研究を進めた。
食生活の物質的側面(食品加工)と精神的側面(食事行動)とを統合的にとらえた食文化研究という新たな地平を切り開き、大きな功績を果たした。未知の食文化を求めて世界各地を訪れ、豊富なデータを集め、実証的な論考、著作を世に送り続けて食文化を文化人文学の新たな分野として切り開いた。世界の麺類起源と伝播に関する研究成果をまとめた「文化麺類学ことはじめ」をはじめ、一般読者を対象にした著作も多く、「食事の文明論」は版を重ね、複数の外国語に翻訳されている。1973年の渋沢賞ほか数多くの賞を受賞。16年に瑞宝中綬章、21年に文化功労者。
●江上栄子氏(えがみ・えいこ)
江上料理学院院長=1935年9月28日生まれ、佐賀県出身。有田焼の窯元「香蘭社」の五女として生まれる。58年青山学院大学文学部卒業、61年フランス・コルドンブルー料理学校最終課程卒業、世界の家庭料理の研さんを重ねる。家庭料理に関する著書多数。
義母で料理研究家の江上トミ氏とともに日本の家庭の味の向上に貢献、トミ氏の死後に同氏が創設した江上料理学院院長を引き継いだ。テレビ放映の「キユーピー3分クッキング」で講師を務めるなど多数のメディアで活躍。外食産業や食品会社の顧問、関連協会の理事などを歴任、フードコンサルタントなどのほか日本伝統文化の伝道師としても幅広く躍進している。
日本漆工協会理事、経済産業省の伝統的工芸品産地プロデューサーを務めるなど食器にも精通している。フランスチーズ鑑評騎士の会理事長を務めるなど諸外国との関わりも深い。
2015年米国農産物貿易殿堂入り、日本女性初の盾を授与され、17年フランス政府から農事功労章オフィシエを受勲された。
●熊谷真菜氏(くまがい・まな)
日本コナモン協会会長=1961年10月14日生まれ、兵庫県出身。子どもの時に大阪の屋台で食べたソース味のたこ焼きに衝撃を受け、高校時代から現代風俗研究会に所属し、それまで本格的な研究はされていなかったたこ焼きに関して、地道なフィールドワークや取材を続け、立命館大学産業社会学部の卒業論文にまとめた。
大学院卒業後も、たこ焼きをテーマに執筆や講演、シンポジウムのパネリストなどを行いながら、フィールドを広げて粉状食品を調理した料理をコナモンと称し、国内はもとより世界各地の食べ歩きを続けた。03年に日本コナモン協会を設立。その認知と普及、文化継承と発展を主な目的に活動する。
生活文化・食文化を研究する一方で、食品メーカーの企画開発にも携わり、フードマーケッターの立ち位置でも食品業界に貢献。世界各地1万人以上とコナモンパーティーを開催し、鉄板コナモンの世界展開を目指した活動にも余念がない。
●村田吉弘氏(むらた・よしひろ)
菊乃井三代目主人=1951年12月15日生まれ、京都府出身。京都祇園の料亭「菊乃井」に長男として生まれ、立命館大学在学中にフランス料理修業のため渡仏。大学卒業後、日本料理の道に入り、76年に生家に戻った。
「日本料理を正しく世界に発信する」「公利の為に料理を創る」を信条とし、海外での日本料理の普及活動、地域の食育活動など、料理人の育成や地位向上のために精力的に活動してきた。日本料理アカデミーや全日本・食学会理事長など数々の要職を歴任し、「和食」のユネスコ無形文化遺産登録に尽力。和食を日本文化の重要な一つと考え、世界に発信するとともに、後世に伝え継ぐことをライフワークととらえ活動している。
現在では世界トップシェフに名を連ねる料理人たちが数多く研修に訪れるなど、後進の育成にも注力。こうした長年の活動が認められ、料理人としては日本史上初の文化功労者に選出される(18年)。
◆第57回食品産業功労賞受賞者名(部門別・五十音順・受賞理由)
〈生産部門〉
●青木時男氏(マルコメ代表取締役社長)
▽味噌製品開発・斬新戦略等販路拡大貢献
▽発酵調味料総合企業、和食進化促進貢献
▽海外味噌普及・拡販、業界団体等運営貢献
●筏純一氏(リボン食品代表取締役会長)
▽技術力、新市場・販路開拓、社業発展貢献
▽伝統と革新組合わせ商品創り普及浸透貢献
▽地域活性化推進、全国業界団体等運営貢献
●長部訓子氏(大関代表取締役社長)
▽大関初女性トップ、基幹ブランド普及貢献
▽若年層・女性向け・内外新顧客層開拓貢献
▽クロスMD・DX活用、新戦略活性化貢献
●中野祥三郎氏(キッコーマン代表取締役社長CEO)
▽付加価値商品市場定着、醤油業界発展貢献
▽海外現地料理レシピ提案、料理創造等貢献
▽経済界発展、和食文化世界へ普及拡大貢献
●和田博行氏(キンレイ代表取締役副会長)
▽冷凍うどん、味探求プロジェクト推進貢献
▽安全安心、省人・省力化、環境等率先貢献
▽関係団体功労、全国業界団体等運営推進貢献
〈技術部門〉
●坂本精志氏(ホシザキ取締役会長)
▽日本初、全自動製氷機の開発貢献
▽製氷機、国内シェアナンバーワン推進貢献
▽グローバルメーカーとしての成長に貢献
〈流通・情報部門〉
●尾家啓二氏(尾家産業代表取締役会長)
▽「いい会社づくり」業務成長推進貢献
▽外食・中食・給食産業発展推進貢献
▽高齢者向け「やさしいメニュー」の開発促進貢献
●久世健吉氏(久世取締役会長)
▽「頼れる食のパートナー」外食向上支援貢献
▽業務用食品流通高度化・近代化発展推進貢献
▽「豊かで魅力ある外食文化」普及促進貢献
●田尻一氏(サミット元社長・オール日本スーパーマーケット協会会長)
▽次世代SMの創造・業界発展貢献
▽SMのあるべき姿=知恵の共同仕入れ改革貢献
▽地域一番店へ教育・商品・情報サポート貢献
●丸谷智保氏(セコマ代表取締役会長)
▽地域密着・共生戦略、人口カバー率向上貢献
▽製造・卸・小売事業のSPA、国内販売貢献
▽関係団体功労、道内経済団体等運営推進貢献
〈外食・中食部門〉
●平井浩一郎氏(ヒライ代表取締役社長)
▽九州圏地元弁当・惣菜・中食製造直販貢献
▽中小市場率先拡大、地元雇用促進推進貢献
▽中食等活力向上推進、全国業界団体運営貢献
●宗次徳二氏(壱番屋創業者)
▽カレー辛味・トッピング選択手法開発貢献
▽カレーライス店、海外チェーン普及展開貢献
▽若手経営者創業育成、福祉施設等支援貢献
●渡邊直人氏(王将フードサービス代表取締役社長)
▽食材国産化推進、顧客満足度進化等貢献
▽外食業界品質向上等牽引、業界発展貢献
▽おいしい力の追求・人材投資等外食牽引貢献
〈国際・食文化部門〉
●石毛直道氏(国立民族学博物館名誉教授)
▽世界食文化研究第一人者、発信貢献
▽多彩な「食材・食卓」魅力普及貢献
▽食事・料理文明論、研究調査等教育貢献
●江上栄子氏(江上料理学院院長)
▽日本を代表する料理研究家、魅力発信貢献
▽世界60ヵ国余、家庭料理研鑽食文化貢献
▽料理団体等組織運営、調理教育等普及貢献
●熊谷真菜氏(日本コナモン協会会長)
▽「コナモン」ワード定着、世界へ発信貢献
▽麺類鉄板コナモン歴史的発見、外食市場貢献
▽日本各地食文化探求連携発信、業界振興貢献
●村田吉弘氏(菊乃井三代目主人)
▽料亭運営料理人、惣菜弁当等産業振興貢献
▽「和食」ユネスコ無形文化遺産登録活躍貢献
▽日本食文化、農林水産物輸出等国内外貢献