丸美屋食品工業、21期連続増収 基幹商品伸び「鬼滅」効果も

調味 ニュース 2021.01.15 12171号 01面
阿部豊太郎社長

阿部豊太郎社長

 丸美屋食品工業(阿部豊太郎社長)の前12月期売上高は542億6900万円(前年比5.4%増)で着地し、21年連続で増収となった。ふりかけ、中華、釜めしの素の基幹3商品群を拡大。内食増のコロナ下で認知度の高い、安心ブランドと支持された。「鬼滅の刃ふりかけ」などの新商品もヒット。「のりたま」「鶏釜めしの素」の周年企画も奏功し、行楽需要の減少、一部休売を補った。

 前期の増収率は近年の平均3%台を上回った。コロナ対策の巣ごもり、「鬼滅」ブームが追い風になった。創業100周年の27年に想定される、売上げ700億円の突破に向けて積み増した。利益も増収効果で高めた。

 ふりかけなどトップシェアを誇る、基幹3群の圧倒的な認知度、安心・信頼感がコロナ禍で求められた。「のりたま」はアソートの「バラエティー」を加えると年間売上げが54億円。「麻婆豆腐」はレギュラーシリーズだけで100億円弱に上り、釜めし群は50億円を超えた。3群とも最高業績を更新し、成長率で市場を上回った。

 「鬼滅」はふりかけ、レトルトカレー3品、3ヵ月限定ながら5億円以上を販売。キャラクター売上げを40億円の大台に乗せた。新製品の構成比を4.7%に上げ、目標の5%が間近に迫った。育成する中核商品はセット米飯が今期売上げ10億円に達する勢い。続く「麺用ソース」「贅を味わう」「春雨」を伸ばし、「のっけるふりかけ」「おうち食堂」「おもち亭」を2桁成長させた。

 「のりたま」「とり釜」は発売60周年、50年を迎えて、例年以上に限定品を拡充。具材倍増の「増し増しのりたま」はSNSで反響を呼び、通年化した「ペパたま」はコショウとの好相性が評価された。ロングセラーの確かな価値を伝える新CMも好評。ミュージカルの「アニー」など協賛イベントの中止によるPR減をカバーした。京浜急行電鉄のトレインジャック、Web動画の充実、東京・渋谷スクランブル交差点での屋外広告なども新たに行い、ブランド強化を尽くした。

 消費急増で生産がひっ迫した昨年2~4月は「麻婆茄子の素こってりみそ味」など40品ほどを休売した。外出自粛や在宅勤務、休校によって行楽・弁当需要が減り、おにぎりなどに向く「混ぜ込み」「ソフト」は苦戦。売上構成比8割を占める基幹群の伸長、「鬼滅」で埋め合わせた。(吉岡勇樹)

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