メニュートレンド:納得の刺身×カレー 固定観念を覆すこの好相性!

2021.12.06 514号 01面
写真1 海鮮カレー 2,000円(税込み)

写真1 海鮮カレー 2,000円(税込み)

写真2 クアトロ 1,400円(税込み)

写真2 クアトロ 1,400円(税込み)

 すっかり定着したスパイスカレーの例を見ても、カレーのアレンジは融通無碍だ。それゆえ、料理人の創作意欲を刺激し、外食店におけるカレーはもはや開発され尽くした感すらある–と思いきや、東京・八丁堀「ジャパニーズ スパイス カリー ワッカ」の「海鮮カレー」は、数々の創作カレーの個性をぶっちぎりで超越する衝撃的な一皿だ。

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 「ジャパニーズ スパイス カリー ワッカ」の前身は大阪のイタリアン業態。その店で提供していたカレーが好評だったことから昨年、スパイスカレーを看板に掲げた店を東京でオープンした。同店のカレーは和だしを主軸に味を構成しており、三浦智輝オーナーシェフいわく「だしを隠し味に使ったカレーはありますが、だしの味わいを前面に出しただしカレーは、東京では珍しい。大阪ではだしカレーはポピュラーなんですけどね」。店舗を大阪から東京に移転したのは、「東京はまだスパイスカレーの文化がさほど育っていない。そこで大阪で浸透しているカレーの文化をアレンジし、東京で広めたいと考えた」と語る。

 看板メニューのだしカレーは「煮干し+鶏」と「カツオ+豚」の2種類のだしを選べ、だしカレー以外にもほろほろに煮込んだ無水チキンカレー、ラムのキーマカレーを揃えている。だしカレーはしゃばしゃばとした汁気のあるタイプで、バスティマライスを合わせている。だしの主張が強い和風の味わいながら、「スリランカ、南インドのカレーがルーツ」(三浦シェフ)というように、異国のカレーの趣だ。

 だしカレーも独創的だが、土曜限定で提供している「海鮮カレー」の個性が際立っている。何と刺身をトッピングしているのだが、決して奇抜さだけを狙っているのではない。「刺身とカレーそれぞれの素材を生かす食べ方を追求し、組み合わせたらいっそうおいしくなるようにとことん研究した」という。刺身をマサラ、チリ、ターメリックなどをブレンドした特製のスパイス醤油に絡めるのがポイントで、カキ1kgを煮出して1L分作るだし汁をカレーのベースに使用。

 “刺身+カレー”という異色の組み合わせが見事に調和しており、これまでにない新しいカレーが成立している。

 「刺身とだしカレーの組み合わせを、ぜひ定着させたい」という三浦シェフの思いから、他店にも積極的にレシピ提案しているという。既に東京でメニュー導入を決めている店も複数あり、今後、刺身カレーはちょっとしたムーブメントを巻き起こすかもしれない。

 ●店舗情報

 「ジャパニーズ スパイス カリー ワッカ」

 所在地=東京都中央区八丁堀2-19-7 庄司ビル1階/開業=2020年12月/坪数・席数=20坪・24席/営業時間=11時30分~15時、18時~23時。日曜休/平均客単価=1300~1400円/1日平均集客数60~70人

 ●愛用食材・資材

 「龍野 本造り醤油淡口」 製造元=末廣醤油(兵庫県たつの市)

 素材の味を損なわない

 400年来の醤油の銘柄地、龍野で造られた、国産大豆、小麦100%使用の天然醸造醤油。だしカレーなどに使用。「添加物が入っておらず、昔ながらの手法でしっかりと造られている。素材の持ち味を邪魔しないシンプルな味わいで、ラーメンの名店でもよく使われている評判の醤油ですよ」と、三浦シェフは話す。

 規格=1L

 【写真説明】

 写真1:土曜限定販売(時期により内容は異なる)。「お茶漬けをイメージした」(三浦シェフ)というさらさらとしたカキだしのカレー。刺身は本マグロ、カンパチで、イクラの塩気が程よいアクセントに。マスタードオイルを塗った海苔が味の調和に一役買っている。日販は70~100食

 写真2:だしカレー、無水チキン(パキスタン風カレー)、ラムキーマを相がけにした一品。和牛の小腸を使ったスリランカの辛い炒め料理「マルチョウデビル」も目新しい

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