アポなし!新業態チェック(178)「餃子の味よし」渋谷道玄坂店

2022.06.06 520号 11面

 ●幸楽苑、創業店にちなんだギョウザ新業態 創業の味、伝統の揚げ焼きギョウザ、人気は鶏唐揚げのパーコー麺

 ラーメンチェーン大手の幸楽苑ホールディングスは昨年12月、東京・渋谷に新業態のギョウザ・バル「餃子の味よし」をオープンした。既存の「幸楽苑」道玄坂店をリニューアルしたもので、店名は同社の創業店舗「味よし食堂」にちなんでいる。

 渋谷の大通りに面した店舗には、店名を記した張り出しテントと大きなのれんが掲げられ、店内は通常の2倍ほどもある高い天井の広々とした空間だ。客席には一人客でも利用しやすいカウンター席などが多く設けられている。

 同店では、「味よし食堂」創業当時の“揚げ焼き”を再現した「焼き餃子」(6個290円)と「パーコー麺」(690円)が看板メニュー。ギョウザはほかに「ナポリタン」「メキシカン」など4種類の「おつまみ餃子」(各3個290円)が用意され、「パーコー麺」には豚肉の代わりにチキンの唐揚げがのる。酒肴メニューには、「よだれ鶏」(390円)や「炙りチャーシュー」(390円)などの冷菜や温菜、「昔ながらのハムカツ」(390円)などの揚げ物のほか、「枝豆」(290円)や「おつまみ煮たまご」(190円)といった軽い一品もある。「カレーライス」(390円)や「餃子定食」(550円)など食事メニューも多い。ドリンク類はハイボールやサワー、ビール、ノンアルコール、ソフトドリンクなど。デザートとしてアイスクリームも用意されている。

 店頭の自動販売機では冷凍のギョウザやラーメンなどの商品を販売し、低価格を武器にさまざまな利用シーンに対応する。

 (価格はすべて税込み)

 ★けんじの評価 今後は利用シーンの絞り込みも必要か

 渋谷のハチ公前交差点から、坂上に向かって延びる道玄坂の中ほどに同店はある。1970年代にファッションビルと呼ばれた「PARCO」が開業し、公園通りが渋谷のメインストリートになるまで、道玄坂の一帯は渋谷の中心的な商業エリアだった。そんなロケーションの店舗は、店前の人通りも多く新業態の1号店にふさわしい。臨店中にも、看板や入口のサインを見て入店してきたと思われる来店客が何組かいた。

 入店した際の第一印象は、「銭湯のような店だな」というものだったが、これはおそらく、天井が高い広々とした空間の壁面に、会津磐梯山の大きな絵が掲げられているせいだろう。メニューの品揃えに関しては、正直に言ってまだ試行錯誤の途中であるような印象を受けた。ギョウザ・バルと称する通りアルコール類は充実しているが、複数人で居酒屋のように利用するには、フードの品揃えや客席の造りがやや調和していないように思える。少人数向けの業態なのだろうか。

 同店には、歩道に面して数テーブルの小さなテラス席がある。オープンな客席で、道玄坂を行き交う歩行者を眺めながらビールを飲み、ギョウザやラーメンを食べる、というのは意外に楽しい経験だ。ただし、このテラス席には他の客席に設置されている液晶画面のオーダー端末がない。店側から提示される客席別のQRコードをスマートフォンで読み取り、ネットに接続してブラウザから注文をしなければならない。そうした操作を面倒と思わなければ、ぜひ一度体験してみてほしい。

 ◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。

 ●店舗情報

 「餃子の味よし」渋谷道玄坂店

 開業=2021年12月22日

 所在地=東京都渋谷区道玄坂2-16-6

 編集協力:株式会社イートワークス

 http://www.eatworks.com/

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