アポなし!新業態チェック(184)「日式台湾食堂 WUMEI」グランスタ八重北

2022.12.05 526号 11面

 ●名鉄の子会社が東京駅に台湾屋台料理 日本人向けにアレンジした料理、老舗で培った中国料理の技術

 名古屋鉄道(名鉄)グループの外食企業メイフーズが、JR東京駅構内の飲食ゾーンに台湾料理の新業態「日式台湾食堂 WUMEI(ウーメイ)」を出店した。同店は店名タイトルに「日式」とある通り、日本人向けにアレンジした台湾の屋台料理を提供する食堂スタイルの飲食店。メイフーズが運営する静岡・御殿場の中国料理店「名鉄菜館」の料理をベースに、同社が昨年5月、東京・渋谷の「東急フードショー」に出店した「台湾屋台デリ 日日包(ニチニチパオ)」の商品を飲食店向けにアレンジしたメニューを提供する。

 同店のフードメニューは大きく2つに分かれる。まず、開店からのセットメニューとして、「水餃子」が付き3種類の麺が選べる「麺セット」(1265円)、看板メニューの一つ、麺線と選べる飯物の組み合わせ「飯・麺線セット」(1320円)、台湾風の唐揚げ鶏排やスープ餃子が付いた「WUMEIセット」(麻婆豆腐または台湾オムレツ、各1650円)、15時までの「日替セット」(990円)の5種類があり、いずれも小鉢が2品付く。15時からのグランドメニューは、「小菜」(330円~)、「点心」(440円~)「飯類」「麺類」(各770円~)、「甜品(デザート)」(330円)などのカテゴリーに分かれる。ドリンク類はビールやワインなどもあるが、ほとんどが缶ドリンクで、自分で冷蔵庫から取り出す方式。店舗のデザインにも台湾屋台のカジュアルな雰囲気を取り入れた、親しみを感じさせる店だ。

 (価格はすべて税込み)

 ★けんじの評価:一見客の駅利用者をつかめるかが勝負

 メイフーズは、創業から53年という老舗中国料理「名鉄菜館」のほか、ラーメン店や焼肉店、高速道路PA店舗などを展開している。「名鉄菜館」は関東圏にも顧客が多い。

 「WUMEI」が出店した東京駅の商業施設「グランスタ八重北」は、地下1階「黒塀横丁」、1階「八重北食堂」、2階「北町酒場」という3層にまたがった飲食店街だ。名鉄という東海地方の私鉄大手の子会社がJRの拠点東京駅にテナント出店するという、ふた昔ほど前なら考えられなかったようなことが今は当たり前となった。これはなぜかといえば、JRのビジネスが鉄道網を中心にした不動産デベロッパーという位置付けに移行したからだろう。

 同店のメニューは料理の幅も広く、どれもよく考えられている。しかし、店としてはどうも使い勝手があまり良くないように感じるのはなぜだろう。渡された紙メニューにはあまり詳細な説明がなくわかりにくい。セットメニューは料理の選択肢が狭く小鉢などにもあまり魅力を感じない。いろいろと、店側の都合で決まっているところが多いように思えるからかもしれない。個人的には、15時からのグランドメニュー営業で好みのものを注文する方が楽しめそうだと感じた。

 同店は、トランジットジェネラルオフィスがブランドのプロデュースを担当している。デザインやブランドストーリーなどの演出は気が利いているのだが、飲食店の商いの中心はもちろんそこではない。ほぼ一期一会であるだろう東京駅の来店客に、何を提供するのだろう。

 ◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。

 ●店舗情報

 「日式台湾食堂 WUMEI」グランスタ八重北

 開業=2022年9月8日

 所在地=東京都千代田区丸の内1-9-1 JR東日本東京駅構内 八重洲北口改札外1階「八重北食堂」内

 編集協力:株式会社イートワークス

 http://www.eatworks.com/

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