次世代フード最前線・「植物肉」の現状と展望を読む:外食産業も興味津々
●焼肉チェーンの成功事例も
次に国内外食産業の導入事例を見てみる。プラントベースフード分野の中でも、「フードテック元年」以降、いち早く採用に動いたのは植物肉を活用したミートメニュージャンルだ。全国展開するハンバーガーチェーン・M社は20年春から、大豆由来の植物性タンパクをベースとしたソイパティを使用したプラントベースバーガーを販売。反響を受けて展開エリアを拡大するなど定番化し、テリヤキタイプなどラインアップを拡充した。このほか、レストラン・居酒屋チェーンなどでも限定メニューが数多く登場し、21年からは高級ホテルでのコースメニュー(プラントベースコースなど)や人気シェフ店での取り扱いも開始されている。いずれも期間限定が主軸だが、和洋中を問わない広範な分野で導入されている。
焼肉業界では1人1台の無煙ロースターで知られるチェーングループが、20年秋から導入。フードテックベンチャーの風雲児として知られるN社とタイアップし、いずれも植物肉である「NEXTカルビ」「NEXTハラミ」の提供をスタートした。22年6月も継続中で一定数のリピートも獲得しているとみられ、フレキシタリアン(生活の一部に菜食を取り込む層)やギルトフリー(肉食・糖質食などへの罪悪感の低減)の需要も組み込んだ形だ。
一方で、スタンダードな焼肉店舗においてどのような反響が得られるかは、現状の国内浸透レベルでは不透明であると言わざるを得ない。それでも同チェーンでの導入は成功事例の一つであることは間違いなく、今後、植物肉の国内浸透と比例する形で反響・成功の可能性は格段に上昇するだろう。(日本食糧新聞 村岡直樹)