FCビジネス点検 手打ちうどん総本家「得得」 かっぱ寿司吸収合併で新FC展開
出店のウエートを市街地から郊外へ
昭和54年1月、西宮市武庫之荘に直営第一号店、昭和56年8月、大阪・大淀区にFC第一号店出店。そして、昭和61年にスーパージャスコ(イオングループ)と業務提携(その後ジャスコ一〇〇%出資会社に移行)。
大手スーパーとの提携だっただけに、資金力および企業信用が増し、これを契機にチェーン展開にハズミがついた。
現在(今年3月末)の出店数は、直営二店、FC一二三店の計一二五店。しかし、この出店数は七、八年前から比べると大幅にダウンしている数字だ。
一時期はFC出店数が二〇〇店を超えたこともあった。街中でも店をよく見かけたものだったが、最近はほとんど見かけない。
FC出店のパワーが減速しているということは否めない。経営の面でも大きな変化があった。
今年2月に入ってジャスコが経営権をカッパ・クリエイト(株)(本社=埼玉県大宮市、資本金三億六四〇〇万円、徳山淳和社長)に譲渡、同社に吸収合併される形になったからだ。
カッパ・クリエイトは直営出店で、首都圏を主体に回転寿司「かっぱ寿司」を一五八店(4月末現在)をチェーン化、年商一一八億円(九五年度)を達成する有力企業だ。
得得の吸収は従来からかっぱ寿司の店舗展開について、ジャスコとの出店関係が多く、こういったいきさつから話が具体化した。
同社は回転ずしに加え、得得を第二の業態と位置づけて、今後は生産性の高い郊外での出店を積極化するほか、ジャスコ内での出店も活発化していく方針だ。
ダブルやトリプルでも値段変わらず
経営の形態は変わっても商品やストアオペレーションはそのままで、得得の特質、強味は変わらない。
得得の商品(うどん麺)は、「腰があって歯ごたえがあり、ズッシリと腹ごたえがある」。そして、だしはカツオと昆布を使った自然の風味、食後がさわやかでクセがない。
いわゆる「大阪うどん」(麺)ということだが、麺とつゆが一体化しておいしい。
大阪うどんといえば、「きつねうどん」に象徴されるが、このきつねの具も特製のだしで煮込んだもので、独特の甘みとボリューム感があり、うどん好きを満足させる。
うどんのだし(味)は、鰹節と昆布仕立てのスープに加え、「ジャワカレー」「とんこつ味味噌仕立てスープ」の三つの種類がある。客のし好に合わせて、味にバリエーションをもたせているということだ。
うどん玉、具、スープ(味)にオリジナリティーがある。これはFCビジネスにおける大きな強味だ。
得得はメニュー提供面でも大きな特色がある。一玉当たりの麺の量が多いということだが、これだけではない。シングル(三〇〇g)、ダブル(六〇〇g)、トリプル(九〇〇g)とボリュームが変わっても、値段が同一という料金システムを採っている。
来店する客がすべて二人前(ダブル)、三人前(トリプル)を注文するということはありえない。これでは赤字になる恐れがあるが、うどん好きにとっては大食できる特権があるということだ。販促効果と客の来店動機を大きく喚起しているというのは説明するまでもない。
代表的メニューはきつねうどん四九〇円、カレー煮込みうどん、ピリ辛うどん各八八〇円、カツ椀セット(カツ丼とうどんのセットメニュー)八九〇円、かやくごはんセット六八〇円、親子丼七九〇円、唐揚げセット七五〇円、冷きつね六五〇円(夏メニュー)など。
FC加盟の条件は別掲のとおりで、加盟金は一店舗坪当たり一〇万円。ただし、店舗面積が一〇坪以下、または五〇坪を超えた場合でも加盟金は下限一〇〇万円、上限五〇〇万円。ロイヤルティーは売上高の三%、販促費同〇・六%、FC契約期間一〇年。
収支モデルは店舗面積二五坪で月商六〇〇万円。売上総利益六四%、減価償却費三・三%、営業利益一八%。立地によっては売上げは一~三割下回る場合もある。開業資金は、不動産取得費を除き二五坪で概算二五〇〇万円と低コストだ。
(しま・こうたつ)
●企業名/(株)得得
●ストアブランド/手打うどん総本家「得得」
●設立/昭和54年2月
●所在地/本社=大阪市北区芝田一‐五六‐六(梅田旭ビル四階)、西日本営業部=同、東日本営業部=埼玉県川口市大字藤兵衛新田字中通り三〇‐二
●電話/本社・西日本営業部=06・375・9131、東日本営業部=048・295・9479
●代表取締役社長/徳山淳和
●資本金/一億六五八〇万円
●店舗数/直営二店、FC一二三店(九六年3月末現在)
●売上高/年商五〇億円(九五年度)
◆FC加盟基本フィー
●物件調査費 三〇万円(FC加盟契約時に加盟金に充当)
●加盟金 坪当たり一〇万円。店舗面積一〇坪以下、または五〇坪を超えた場合でも加盟金は下限一〇〇万円、上限五〇〇万円(二号店目からは加盟金は五〇%引き)
●店舗開設準備費 八〇万円
●研修費 三〇万円
●ロイヤルティー 売上げの三%
●販売促進費 売上げの〇・六%
●預かり保証金 一六〇万円(月間推定売上げ×二七%)
●契約期間 一〇年