世界の人気食材 「西洋キノコ」豊富な食物繊維、美容食でも最高

1996.08.05 106号 20面

キノコは、世界的に人気の高い食材である。味が良く、しかもノーエネルギー。食物繊維にも恵まれ、優れた美容食品と呼べよう。ヨーロッパでは人工栽培がほとんどなく、自然食品の王者として認められている。

森と林の多いヨーロッパでは自然に生えるキノコは採取が自由で地主のものではない。キノコシーズンに入ると、各国の青空市場はキノコが山積みされるが、価格は非常に安い。主婦はすべてキノコ料理のベテランなのである。

ヨーロッパ特にスウェーデン、ドイツ、スイス、オーストリア、フランス、イタリア、スペインなどの人々はキノコ大好き国民で、日常の生活に密着している。

最近、日本にも多く輸入され、ホテルなどではキノコフェスティバルが開催され、さまざまな料理となって楽しまれてきた。

代表的なキノコと食べ方を紹介すると‐‐

コク生かしスープに

●セップ(日本名=ヤマドリダケ)イグチ科の美味なキノコ。夏から秋にかけて主としてブナ科の広葉樹林に発生。形は大きく直径二〇センチメートルにも達する。分布は日本全土、ロシア、全ヨーロッパ、北アメリカ、アフリカ、オーストラリアと広い。ヨーロッパでは、日本人が松茸を賞味する以上に喜び、人気は高い。

コクがあり、舌触りも最高。スープは特に美味。オリーブ油とワインでソテーしても良い。クリーム煮、揚げる、炒めるなどにも向き、和風では煮物、天ぷらにしても楽しめよう。

アンズの香りが抜群

●ジロル(日本名=アンズタケ)夏から秋にかけて各種の針葉樹や広葉樹を交える林に群生。まろやかなアンズの香気があり、舌触りもさわやかで歯切れも良く美味。

分布はヤマドリダケと同じ。傘の径は三~八センチメートルで色はアンズ色をしている。日本人にはなじみが薄いが、一度食べると必ずファンとなるほど味が良い。別名シャンテレルと呼ぶ。

香りが良いので、鶏と玉ネギとを炒めてオーブンで焼いたり、サラダにも向く。オムレツやスクランブルエッグに混ぜても最高。

和風では天ぷらにも

●モリーユ(日本名=アミガサダケ)春のキノコとも呼ばれ、発生は4月から6月にかけて。道端や人家の庭にも見られる。分布は日本、中国、ヨーロッパ各国と北アメリカなど。フランス人の好物のキノコである。外観で高さは七~八センチメートル、頭部は網目状でハチの巣を思わせる。

肉質はもろいがゆでると弾力が出てシコシコとした歯触り。フレッシュフォアグラとの軽い煮込みは絶品。スープにして良く、煮込んでもうまい。オムレツに入れても良い。和風ではクルミ和え、辛子和え、天ぷらなどに。

淡泊さが大きな魅力

●ピエ・ド・ムトン(日本名=カノシタ)発生は夏の終わりから11月にかけて。分布は日本全土から中国、シベリア、ヨーロッパ全域と北アメリカ。コナラ混じりの雑木林の地上に群生する。

傘の径は二・五~一五センチメートルほど。肉は充実しているがもろく欠けやすいためゆでてから利用。クセのない淡泊な口当たりが魅力である。ポタージュ、コンソメに良く、脂肪料理と良く合う。マリネ、ピクルス、ピラフなどに向く。

フォアグラに入れて

●トリュフ(日本名=セイヨウショウロ)グルメ食品の代表。北アフリカからヨーロッパにかけての石灰質の多い荒れ地に育つ。種類は夏トリュフ、白トリュフ、ペルゴールトリュフの三種。大きさはドングリ程度からジャガ芋大まで。独特の芳香を持ち、訓練した犬を使って地中のキノコを採取。

利用法として、フォアグラに入れると真価を発揮する。トリュフ入りオムレツ、クリーム煮、パイにも使う。フランス産は黒、イタリアやドイツ産は白が多い。食材のダイヤモンドの別名を持つ。

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