給食産業総点検 ケータリングの安全対策 東京ドーム=製造から8時間以内に売り切る
(株)東京ドーム(東京都文京区、03・3817・6156)は巨人戦で約八〇〇〇個、日ハム戦で約二〇〇〇個の弁当が売れ、年間約一〇〇万個の弁当を販売している。
八年前のオープン時に天井付の巨大なドームの中という特殊な環境下での食品衛生管理ということで、当初からHACCPに則る形で進めている。ドーム内の気温は二八℃。その中で何時間弁当がむき出しでも安全かということを検討した結果、製造から一二時間は大丈夫という結果が出ているが、実際は八時間以内に売り切っている。
見込みロスは五%。弁当には「ドーム内でお召し上がり下さい」と表示してあり、持ち帰りは厳禁。
販売弁当の選別は毎年秋口に過去に取引きのあったところ、新規に手掛けたいというところに特徴ある弁当を提案してもらい、その中からその年の方針に沿って選ぶ。そのため、年によって納入業者数、アイテム数はまちまち。今年は一五社、三〇種類の弁当を提供している。
業者選択の基準は(1)自社工場を持っている(2)後楽園の衛生基準に合格した‐‐の二点。後楽園の衛生基準は保健所に準じている。
ただし、もう一つ重要な要素は、働く人の食品衛生に対する姿勢、企業の教育方針がきちんとしているかどうかである。
「設備がしっかりしていても働く人が駄目だと駄目」(仕入部仕入グループ課長木村不二夫氏)。工場訪問はまず地域の保健所に行ってもらい、再度同じことを民間だが、採用するという立場で同社が再確認する。
工場の衛生に対する姿勢はふき取りでもテーブルの裏とか冷蔵庫の取手の裏などを検査したり、訪問検査の時に帽子、長靴、白衣を揃えているか否か、従業員とのちょっとした会話などで判断する。
納入弁当に関しては毎月一回抜き打ちで全アイテムの検査を行う。保健所の検査は弁当をミキサーにかけて一つとしての検査だが、同社は万が一事故があったときの早期原因解明の手がかりになることも含めて、食材一つ一つについて生菌数、大腸菌群、黄色ブドウ状球菌、セレウス菌の項目を検査、これに5月18日の検査からO‐157対策として病原大腸菌の項目も入れた。
これは弁当だけではなく、同社の仕入部を通る食材すべてに行っている。「販売者としての責任」(同氏)である。納品弁当の検食の取置き期間も7月16日から二週間に延長した。
O‐157が起きたため、弁当企業には「非加熱食材はすべて中止、生野菜、サラダ、ローストビーフ、蒲鉾、玉子焼きは中止」してもらった。また、納入業者にも「仕入れについては弊社と同じく厳しくして、確かな食材を使って欲しい」と要請している。