人気のロシア料理店 「スンガリー」(新宿) 実直な本場の味
新宿西口そばにあるロシアレストランのスンガリー。経営は昭和33年に開業した㈱トキコプランニングだ。現在東京では新宿に二店舗、青山に一店舗ある。新宿の二店舗はロシア料理を広めるという意味もあり、大衆的な店舗展開をしてきたが、青山店はテアトロ(劇場)と名付けた芸術の要素も含めた空間作り。高級志向で勝負している。
この店はロシア料理といっても、ロシア革命の頃の貴族料理が中心。日本でも数少ない。では、この店ならではの料理をあげると、例えば「ブリヌィ」(二〇〇円)。小麦粉をパンケーキ状に焼いたもので、備えつけのサワークリームをぬり、そのうえに「マリノーブナヤケタ」【鮭の酢油漬】(一六〇〇円)などをのせて、挟んで食べる。ブリヌィはシンプルな味なので、比較的何とでも合わせやすいようだ。だが、これはメニューには書かれていない。「これだけは、ウエイターが直接お客様に勧めるようにしています。私達はリップサービスと呼んでいますが、お客様とのコミュニケーションをはかる一つの手段でもありますね」と店長の北市泰生さん。そのほかシベリア風餃子の「ペリメン」(八〇〇円)も人気ある特徴的なメニュー。料理は可能な限り手作りにしているが、本場と違うことは塩味を押さえていること。味はオープン以来変化させていない。
もう一つこの店の特徴といえば、従業員の勤続年数が長いこと。一〇年以上のキャリアを持つ人はザラにいる。「チームワークよく仕事をすることがお客様を心地よくしていただくことにつながるのではないかと思っています」と北市さん。オープン以来、幅広い客層の中で常連客の比率が非常に高くなっている。客単価はランチタイムが一一五〇円、ディナータイムが五三〇〇円。予約客の客単価は八〇〇〇円だが、最近は社用が減ってきているという。煮込みの多いロシア料理は夏より冬の方が強い商売で、売上げもグンと変わってくるそうだ。
店は一六坪弱のスペースに三八席、ロシアの納屋をイメージしているという落着いた空間だ。夜更けまでウオツカを飲んで語り合っていただけるような店を目指している。
◇東京都新宿区西新宿1‐7‐2
◇TEL 03‐3343‐5947