シリーズ・売れる惣菜 「丼物」 ここ一番 今最強の助っ人

1996.10.07 112号 17面

景気の低迷が長く続く。防衛的な生活が強まり外食産業の伸びも低い。特に狂牛病やO157の影響で生肉、鮮魚、青果などの落ち込みは激しい。

この中で、客単価を下げ集客化を図ったファストフードやファミリーレストランは比較的順調である。またスーパーでは生鮮不調に対し煮物を中心とした惣菜などは好調といえよう。

また(1)比較的安価で(2)内容的にもボリュームがあり(3)早いサービスで(4)味の点でもうまい丼物にはコンスタントな人気を集めている。これは外食産業に要求されている値ごろ感、ボリューム感、出来たて感を満たしているからともいえよう。

丼の魅力の一つにバラエティーの多いことがあげられよう。和・洋・中華と数えると一〇〇種類を超えるものがある。先発の料理店では確固たる名声を維持しているものが多いが、後発の料理店でも大きな発展の余地が残されている。

人気の高いベスト5をみると、この発生は‐‐

(1)親子丼=明治中期、日本橋で 誕生

(2)かつ丼=大正10年、早稲田大 学学生が開発

(3)天丼=昭和初期、東京で誕生

(4)ウナ丼=徳川文化年代、江戸 にて

(5)牛丼=一九七三年、チェーン 化開始

となろう。歴史はまちまちであるが、この五大丼が定番であり、人気度も高く有名店も多くみられる。

親子丼は原価が最も安い。鶏肉(銘柄鶏)、鶏卵(有名地卵)を吟味。ブロイラーや特売の鶏卵では不可。味に大差が生まれる。鶏肉と日本ネギを割り下で煮て、溶き卵でふんわりとじて、熱いご飯に汁ごとかける。ほとんど煮すぎている場合が多く要注意である。

かつ丼は、衣がサクッとした歯触りを残すため片手鍋で煮すぎないこと。溶き卵は少しずつ回して入れ、むらなく。豚ロースを使用するが豚肉の質によって大差。揚げ油は一七〇~一七五度C。あつあつのご飯を。

天丼は高熱処理のためO157に対しても安全。サラダ油にごま油を加えて香りと風味を残すように。カラッと揚げ、揚げたてを穴じゃくしにのせ煮立てたたれにサッとくぐらす。さらにこの上にたれをかける。あつあつのご飯に。芝エビ、かき揚げなど種類も多い。

ウナ丼も加熱で安心と、販売は好調である。白焼きを用意し、小鍋にたれを煮立ててウナギを入れ両面にからめる。あつあつのご飯にのせ、残りのたれをかける。ウナギの品質差によって大差。専門店有利である。

牛丼は庶民の味に。あるチェーンの規格は、並四〇〇円・牛肉八五g・ご飯二六〇g、大盛五〇〇円・牛肉一一〇g・ご飯三二〇g、ほか。牛肉はショートプレート(胸のところのバラ肉=最も安い)を使用、白ワインを多用し味の仕上げを行っている。

その他丼で人気の高いのはすき焼き丼、キジ丼、ステーキ丼、カレー丼など。魚や貝では深川丼、海鮮丼、カキフライ丼、アナゴ丼、ねぎま丼、ツナ丼、カツオのたたき丼など。

中華風では天津丼(かにたま)、東坡肉丼、焼き肉丼、八宝菜丼、メンマ丼、牛肉カキ油丼、肉そぼろ丼、カニと黄ニラ丼ほか。

エスニック風ではキムチ丼、ビビンバ丼、メキシカン丼、ストロガノフ丼、オイル・サーディン丼、スペアリブのオレンジ煮丼など。

鶏肉のから揚げ丼、ハンバーグ丼、ドライカレー丼などはヒットを続けている。新しい丼に挑戦し売上げの拡大に結びつけること。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら