世界の人気食材 マンゴー=1000種超す品種、利用法さまざま

1996.12.16 117号 20面

マンゴーは、世界の人気果物である。原産地はインドからマレー半島にかけてとみられるが、あまりにも歴史が古いためよく分からないようである。

熱帯から亜熱帯に広く分布し品種も一〇〇〇種を超えるほど多い。高温を好み、最低限界温度は摂氏五度まで。しかも多雨多湿の地では着果不良となる。

マンゴーはウルシ科の常緑喬木で、高さ三〇mにも達し、うっそうと茂る。品種差によって果実は卵形、長楕円形、腎臓形までさまざま。大きさも鶏卵大のものから一~二キログラムに達するものもある。

果皮の色も黄色、赤褐色、赤紫色、緑色に赤色の混ざったもの、緑色のまま熟すものなどとまちまち。果肉は淡黄色から橙黄色で、極めて多汁質である。

現在の主産地はアメリカ、ラテンアメリカ、南米、インド、東南アジアなど。アメリカは暖地のフロリダが中心である。

インドのアルフォンゾ、フィリピンのカラバオ、インドネシアのアルマニスが世界の三大優良品種とみられている。優良品種の特徴は、繊維が少なく食べやすいことである。

味は複雑な甘さとともに特有の香りがあり松ヤニ臭がプンと感じられる。柔らかでねっとりとして、口に溶ける風合いは非常に濃厚のため、初めて食べる者にとっては異様と感じられるが、慣れるとかえって魅力となる。

果肉はこってりとして、酸味はあまり感じられないが、何ともいえないうまみがあって、後を引くようになる。これがマンゴーのだいご味で、千金を払っても食べる価値があるといわれている。

最も南国らしい味をしており、熱帯果物の王者と呼ばれるゆえんである。日本にも輸入されファンの急増をみている。

マンゴーの主成分はしょ糖と果糖で、ビタミン類ではCが比較的多く、成熟したものはAの含有が非常に多いのが目立つ。品選びとしては、果皮に黒斑や傷がなく、触ってはりのあるものが良品である。

食べ方はへん平で大きな舌に似た種子が中央部にあるので、魚のように皮つきのまま三枚におろし、これをスプーンですくって食べる。また種子には産毛のようなものがあり、このまま口に入れて吸うと美味である。

生食以外にマンゴーは加工適性が広く、若い果実は塩漬けや砂糖漬けにする。熟果をドライフルーツにして、タイやインドネシアでは土産品として人気が高い。

インドマンゴーは緑色のマンゴーで、熟しても皮の色は緑色で、他国のマンゴーは未熟果では酸味が強いが、インド産はソフトな味を持つ。このため未熟時でも利用される。カレー料理に欠かせないマンゴーチャツネの原料となる。

また、青マンゴーでアップルソースをつくり、離乳食、豚肉を焼いてかけたり、ケーキにも利用される。特にアイスクリームに向く。

最近ではマンゴージュース、マンゴープリン、マンゴームース、マンゴーパイ、マンゴージャムなどに利用されている。インドでは種子を薬用に、若芽は野菜代わりに利用し、極めて有用な果物と呼べよう。

マンゴーは世界のフルーツ・ターミナル(終着駅)の別名を持ち、一度味を覚えると固定ファンとなるため、消費は増大傾向となる。特に日本では東南アジアなど海外旅行者が増加し、マンゴーに接する機会も多くなり、マンゴー熱も一段と高まってきた。輸入も増大傾向にある。

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