名古屋版 ロングラン商品あれこれ(1) 山一商事「鍵わらび」
新発売されては次々と姿を消してゆく商品の群れ。そんな短サイクル化が進む一方、ロングラン商品も依然として安定した地位を保っているのも確か。華やかな新商品の前ではつい影が薄くなりがちだが、ここで再びスポットライトを当てながら紹介してゆきたい。
さてシリーズ第一回目は、飛騨地区ナンバーワンの総合食品メーカー、山一商事が二○年前に開発した山菜加工品「鍵わらび」を取りあげてみよう。
山一商事は創業七〇年の実績を持ち、現在およそ一五〇アイテムを生産販売している。
「鍵わらび」は、ワラビが芽を出した直後、頭をまるめ鍵のような形のもの。雪が溶け始めた3月終わりごろが収穫時期となる。工場長の坂口義男氏に話をうかがった。
ある料亭からの要請がきっかけで生産を開始。雑誌で取り上げられたことから京都方面の料理屋さんなどから続々と注文が入ってきて、最初一tほどだった生産量が今では三〇tに増加したという。収穫してから塩漬けして一定期間ねかせ、11月から生産に入る。
「今の時代、野菜やフルーツで季節感を出すのはむずかしいですから、こういった山菜が好まれるのでは」と同工場長は言う。煮物、揚げ物、あえ物にも適しているロングラン商品である。