シリーズ・売れる惣菜「魚料理」 持ち味生かし薄く 濃く

1997.05.19 127号 19面

魚を取り巻く環境が変わってきた。魚資源保護のためマイワシ、サンマ、サバ、マアジ、スケトウダラ、ズワイガニには年間の漁獲高が設定された。多くの国でも実施している。

特にマイワシ、サンマ、サバ、マアジは多獲性魚で価格も安く、青魚とも下魚とも呼ばれていた。日本国民の栄養源として貴重な存在であった。

最近では不漁が続き、サバはノルウェー、マアジはイギリス、チリ、ニュージーランド、南アフリカから大量に輸入されている。イワシも一九八八年の四四八万tから九五年には六六万tと漁獲高は激減し、メキシコやモロッコから輸入されている。

この悪環境下で、魚の新興消費国が台頭し、価格上昇の因ともなってきた。あまり魚を食べなかった中国や韓国は、高い経済成長を続けマグロやサケの消費国に、アメリカの場合水産物はヘルシーとして消費拡大をみせている。アラスカのサケ、イクラ、ノルウェーの甘エビなども新興国に流れている。またインドネシアなどは品質基準の厳しい日本を避けて中国や韓国に輸出している。

魚料理は高級イメージを持つように変わり、安価で入手は不可能となり、高価安定の食品とイメージが変わってきた。

この魚の料理法をみると、生食を始め、煮・焼・揚・蒸などといろいろ。

生食では刺身、すし用を始め、マリネが美味。イワシ、サンマ、アジ、サケ、カキなど。マリネ液(酢、ワインを等量にローリエを加える)に材料を一~二時間漬け、ドレッシングに漬ける。

夏場の食べ物に向く。スーパーなどでも売れ残っても心配はない。アジのたたき、しめサバも人気が高い。たたきは冷たくないとおいしさは半減。しめサバは塩で十分にしめて、酢でのしめ加減はお好みで。

煮魚は日本の惣菜としてコンスタントな人気者。特に老人に好まれる。旬の魚を選んで煮ること。魚の持ち味を生かす煮方で、薄い味でさらりと、また濃い味でこっくりと煮る。いずれにしても煮上がったらすぐに器によそい、あつあつをすすめること。

アジの煮付け、サバの味噌煮、カレイの煮付け、ブリのあら煮、サンマの辛煮、身欠 き ニシンの煮付け

焼き魚はさっぱりとした持ち味を楽しむ。直接火にかざす直火焼きと、フライパンやアルミ箔に包んで焼く間接焼きがある。いずれも外部から高熱を加えて仕上げるため材料のもつうまみを生かすこと。焦がさずよく火を通す火加減に注意。遠火の強火がポイント。

アジの塩焼き、ブリの照り焼き、サンマの塩焼き、サワラの味噌漬け焼き

揚げ魚は高温処理で持ち味が生きてくる。油の量と油の適温に注意する。適温は材料にもよるが一六五~一八〇度C。揚げ色を付けたくないものは新しい油を、揚げ色を付けるには一度使った油がよい。天つゆで食べるのが一般的。揚げたてを食べるように。

天ぷら(車エビ、モンゴウイカ、キス、アナゴ)、カレイの唐揚げ、サケのフライ

蒸し物は煮物、焼き物とはひと味異なった口当たりの良い料理。熱いうちに食べるのが原則。中国では清蒸と呼び、魚の姿蒸しなどに多く利用。数多い魚料理の中で最高の味とされ、また技術的にもむずかしい。

ちり蒸し(白身魚)、カニの月見蒸し、タイの骨蒸し、アワビの酒蒸し、タイのかぶ と蒸し、ムツのちり蒸しほか

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