注目の「早炊き米」「無洗米」 米飯ビジネスに弾み
食の簡使化・利便化のニーズが高まるなか、レトルト、無菌パック、冷凍などの家庭向け米飯類が好調な伸びを示しているが、「無洗米」「早炊き米」が炊飯の簡便化・利便化を図る業務用素材として注目を集めている。
無洗米は精米する時にコメの糊粉層(糠層)を洗い落としたもので、コメをとぐ手間が省け、また普通のコメに比べて炊飯時の浸漬時間が少なくて済む、というのが大きな特徴。人手や機械によって白米を洗米すると、白米の約二%がとぎ汁となって目減りするが、無洗米はとぐ必要がないので目減りがなく、経済性でもメリットを出す。大量にコメを使用する外食産業では労働力、水道代が節減されるとともに、とぎ汁が出ないために排水処理が不要で、環境保全にも貢献するという社会的メリットも生み出している。
また、脂肪、たんぱく質の多い糊粉層を取り去っているのでコメの酸化が遅く、白米より保存性に優れているのも特徴だ。
無洗米の加工設備を開発している㈱佐竹製作所の金本繁晴精米技術部長は「当社が開発した無洗米加工設備では洗米するとき、水だけを使用している。そのため現在の食管制度下で白米として流通可能は一六%以下の水分で、しかも食味が低下しないように工夫した加工設備だ」と説明している。
同設備では、洗米に使用する水量が従来の1/15~ 1/20の洗米装置と、高濃度の洗米排水処理装置の新技術を開発するとともに、無洗米の品質を長期間維持する新しい真空包装整形装置および新包材を開発、新しい無洗米の技術を確立している。
一方、早炊き米は特殊処理したコメ(加工米)で、洗米、浸漬、蒸らしが全く必要なく、通常の炊飯器で一二分で食べられるという全く新しいタイプのコメ。早炊き米(商品名‐クックライス)を開発した㈱アサノ食品の浅野幸紀代表取締役は「化学薬品などの力を借りずコメ自身の力で処理米として生まれ変わる新しい製法技術により製造しているので、コメの味は白米と全く変わらない。むしろアルファー化度が高いためおいしくなる」と特徴を説明する。
同社ではクックライスを使った商材として現在、キユーピーと提携して業務用の釜飯セットを販売する一方、カネハツ食品と提携して家庭用に「ごはん百科」シリーズとして 牛丼、山菜ご飯、鶏ご飯を販売している。「クックライスは、スーパーのバックヤードで簡単に炊飯できるので、惣菜売り場の商材として伸びるだろう。コメ市場はクックライスのような加工処理米に取って変わる時代になっている」(浅野氏)と期待している。
「冷凍米飯、無菌米飯も高い伸びを示しており、家庭から炊飯器がなくなる時代がくる」(ニチレイ・旗生聡加工食品事業本部生産部長)とまで言われており、米飯ビジネスはさらにはずみがつくことが確実だ。