飲食トレンド:中国料理に新潮流、注目の“ヌーベル・シノワ”
フランス料理や懐石料理を思わせるニュースタイルの中国料理「ヌーベル・シノア」が注目度を高めている。「ヌーベル・シノア」とは“中国料理の新しい潮流”という意味。具体的には、和・洋・中さまざまな素材を中国料理の技法で調理し、少量多種の料理を小皿コースで提供するものだ。昨年からこうしたカジュアル感覚の中国料理店が爆発的な人気で、飲食業界に女性集客の大きなヒントをもたらしている。
「ヌーベル・シノア」の中国料理店に行ってまず驚くのは、客層の九割以上が女性であること。中国料理店特有の重厚なイメージを払拭し、カジュアル路線で従来呼び込みにくかった(来たくても来れなかった)客層を強力に集客していることである。
カジュアル化に見られるポイントは、(1)従来の金、赤基調の原色から明るい雰囲気の中間色に変えている、(2)小皿コースで少量多種の料理が楽しめる、(3)野菜が豊富でヘルシー、(4)ワインが豊富、(5)比較的安い――などである。
一見、西洋料理店に見える意外性も好奇心を駆り立てている模様だ。
こうした折衷感覚の料理、レストランは、五年ほど前から米国のNYで大流行している。俗にクロス・カルチュアル・クッキング(フュージョン・クッキング)といわれるもので、アジア料理とフランス料理を融合した料理に人気が高く、NYレストラン業界の新たな潮流となっている。
「おいしさと雰囲気優先で従来の形式(フォーマル)にはとらわれない」というベビーブーマーのニーズが、そうした潮流(カジュアル化)の源泉になっているという。
米国の流れが日本に上陸したのか、このほど外食レストラン新聞が行った和・洋・中料理人一〇〇人アンケートでも、「いま最も注目している店はどこか」の質問項目でクロス・カルチュアル・クッキングの店がかなりの票を集めた。
業種別で見ると先のヌーベル・シノアの中国料理店がダントツのトップ。「キハチチャイナ」と「トゥーランドット游仙境」を筆頭に「ユーロン」「エピセ」などが挙がっている。また、わが国のクロス・カルチュアル・クッキングに先べんをつけた「キハチ」も票を集め注目されている。
そこで今回は、アンケートで注目度の高かったヌーベル・シノアの中国料理店「キハチチャイナ」「トゥーランドット游仙境」「エピセ」の三店を紹介する。
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