で・き・る現場監督:ピッツェリア・ドォーロ新橋店店長・飯村康弘さん
会社と店の設立から二年、まだまだ新しいイタリアンレストラン。ダイレクトメールやインターネットを使って、顧客獲得を図る。会社を大きくしていく方法を常に考えている、そんな若き店長飯村康弘さんは店にいる時はとても穏やかで、落ち着いた雰囲気をもっている。そのせいか、店内にはつい居座ってしまいそうな、家庭的な空気さえ漂う。スタッフと客がごく自然に存在する店になっている。
店のオープン当初の数字がしばらく続くと、あるときストンと落ちることがある。ドォーロもほんの数ヵ月前がその時期だった。それが、この一、二ヵ月で売上げが急浮上。一日の来店客数が一二〇人から二〇〇人、月の売上げも七〇〇万円から八〇〇万円へ一気に跳ね上がった。
「ワインブームが大きいかもしれませんね、タイミングがあったというか。これまでも四五種類くらいのワインを置いていますが、スタッフ各自でも積極的に買い付けに参加してもらっています」
もちろん、ブームだけの売上げ上昇ではなく、「それに加えて、ここのところ(アルバイトや社員の)人が固定されてきて、スタッフのチームワークが出来上がったのもあるかもしれません」。
二年前、初めて店長になった飯村さん。責任感が強く、すべてを自分でやりこなそうとして緊張した日が続いた。
「本当いうと、アルバイトに期待していなかった面があったと思います。僕が店全体を引っ張っていくから、アルバイトは仕事をこなしてくれればいい、というような……。それで当たり前ですが、アルバイトが多い時は一ヵ月で二人くらい辞めてしまって。店の雰囲気も悪くなるんで、『自分は限界なのかな』と思いました。辞めることも考えました」
そんな時、社内研修で麹町店の店長のやり方や考え方を知った。
「麹町の店長と話してみると、僕がアルバイトたちに責任感とか、仕事の大切さを教えていなかったことに気づきました。それから、うちのシェフと協力して、アルバイトに責任ある仕事も任せて、仕事の大切さの中身なんかも折りに触れて話すようになりました」
その成果が今の売上げに現れている。
「お客さんとのコミュニケーションをとること」、これがこの店の接客の基本。口にだしていったわけではないが、いつのまにか自然とスタッフが客と話していた。店長自らが楽しそうに接客するのを見ているからだろう。
その飯村さんのモットーは「仕事に対する意識レベルを上げ続けること」。五年の間に五店舗にし、本社を構える。そのために自身も経営学を学んで、会社をもり立てていくことが目下の目標。
「いつかメティウスフーズの社長になりたい」という夢も実現させそうだ。
◆いいむら・やすひろ(ピッツェリア ドォーロ新橋店店長)=昭和47年、東京出身の二五歳。独身。高校卒業後、カフェバー、中華料理のシェフを経て、平成8年7月に(株)メティウスフーズに入社。一ヵ月後にドォーロ新橋店の店長に就任する。トータルプロデューサーとして、社員四人、アルバイト八人の上に立ちながら、皆で協力しながら店の雰囲気をつくっている。週に一度の休みは釣りをしに車で湖へ。海や川より気軽に楽しめるから湖釣り(?)専門。新しくできた銀座店にブライダルパーティーの客を呼ぶために今奔走中。
◆ピッツェリア ドォーロ新橋店/経営=(株)メティウスフーズ/代表取締役=岡本英/新橋店所在地=東京都港区新橋五-一八-一、電話03・3432・8222
(株)メティウスフーズは平成8年に創業、社員一五人。ピッツェリア ドォーロを東京都内に三店舗経営し、さらに二店の店舗展開を予定している。安く気軽に客が楽しめる場を提供する、がモットー。最近では男性客も増えている。年商は一億五〇〇〇万円。