4000億円の市場規模のスパゲティ バリエーションに富む商品特性でラーメンしのぐ
パスタ(Pasta)料理といえばイタリアが本場であるが、この名を聞くと「スパゲティ」をイメージする。
パスタ本来の意味は「小麦粉の練りもの」ということで、わが農林水産省の規定によると、マカロニ類に区分され、「スパゲティ」「マカロニ」「バーミセリ」「ヌードル」の四種を集約する。
パスタの原料はもちろん小麦であるが、スパゲティやマカロニなどに適した材料は小麦粉を粗挽きした「デュラム・セモリナ」で、俗に“マカロニ小麦”と称しているものである。
デュラム小麦の特色は、弾力性のあるグルテン(たん白質)を豊富に含み、パスタ類に加工すると、腰があり、シコシコと歯ごたえにすぐれていることである。
デュラム小麦は地中海沿岸や中近東、アメリカ、カナダで生産されているのであるが、日本ではとくに色あいにすぐれ、たん白質の多いアメリカ、カナダ産のものを主原料として利用している。
これら輸入小麦を原料としてのマカロニ(乾麺)生産は、平成元年が一二一万七五四㌧、同2年一二四万四一三㌧、同3年一二八万八三三〇㌧という実績で、これにイタリアなどからの製品輸入を加えると、国内供給量は(わが国からの製品輸出を除いた数字)平成元年が(輸入量四万三〇一三㌧)一六〇万三四二㌧、平成2年(同四万一六四四㌧)一六一万二八一㌧、平成3年(同四万四九二七㌧)一六九万三二二㌧で、パスタの消費は微増ながら伸びているという状況を示している。
スパゲティなどパスタ料理の提供は、イタリアレストランであったり、専門のパスタ料理店(スパゲティハウス)、喫茶・スナック、ファミリーレストラン、コーヒーショップであったりと、その業態はラーメンやうどん、そばなどに比べて一律ではない。
専門業態であったり、他業態でのメニュー導入であったりと、多面的な提供形態の考えられる商品特性を備えているわけで、パスタ類は極めてユニークな存在にあるといえる。
しかも日本人にとっては自己完結の主力商品にもなるし、他のメインメニューとの組み合わせでサイドメニューやおかずにもなる。多様な打ち出し方が可能な商品なのである。
社団法人日本フランチャイズチェーン協会が明らかにしている九一年度統計によると、フードサービス業の中では「西洋料理・ステーキ・ピザ・パスタ」の業種(業態)として区分されているのであるが、この店舗総数は二三八五店、総売上高は約四〇〇〇億円という内容となっている。
一方のラーメン、そば、うどんはそれぞれに「ラーメン・餃子」「そば・うどん」の業種(業態)として区分されているのであるが、前者が六五八七店舗、総売上高二三四八億円、後者が五八一店舗、四一五億三〇〇〇万円という数字で、単純に比較するわけにはいかない面があるが、出店数においては圧倒的に「ラーメン・餃子」分野が勝っているものの、売上げにおいては「西洋料理・ステーキ・ピザ・パスタ」分野が大きく水を開けている。
しかし、現実の外食市場では、スパゲティ、マカロニなどパスタ単独のマーケットとしてのデータはなく、この市場スケールは不明である。