特集・デリバリーピザ市場:今年の話題は保温システム

1998.09.07 160号 3面

「ドミノ・ピザ」オープンによる業態発足に始まり、ブームに乗った出店競争、過渡期のキャンペーン合戦、店舗飽和化が招いた複合店化戦略、店舗パッケージ縮小によるローカル進出。そして一昨年のクリスピーブーム、昨年のクワトロブーム。宅配ピザ業界には、毎年、業界関係者が注目する共通の話題がある。今年の話題は、宅配ピザの大原則である“ピザを熱々のまま届ける”ための保温システムだ。

保温クレームも5%に激減

保温システムの話題は、ドミノ・ピザのヒーティングプレートの導入に始まる(詳細は7面参照)。導入後、プレートの盗難が五件発生していることからも注目度の高さがうかがえる。

これは加熱したプレートをピザボックスとホットバッグの間に挟むオリジナルシステムで、ピザを七〇度Cで三〇分近く保温する機能を持つ。

「ピザの保温アンケートで、かつては“冷えていた”との回答が二〇%ほどあったが、導入後は五%に激減した」と好評を得ており、他チェーンも追随を始めた格好だ。

プレート盗難事件が5件も

「これから迎える需要期(冬場)のピザは冷めやすい。また、二枚持ち(二軒連続配達)、三枚持ちの一般化や、売上げアップのための遠隔地配送が増加により、冷えたピザが届けられるケースも増えている。放っておいたらドミノの一人勝ちになってしまう」とし、事態を深刻に受け取っている。

ドミノでは導入後、プレートの盗難事件が五件も発生しており、注目度の高さがうかがえる。

他チェーンの動向を見ると、大手電気メーカーが開発したガスボンベ式の着火保温機を試験採用してケースが多いようだが、こちらは「直火なので危ないのでは」「ランニングコストがかかる」「ボンベの取り替えが面倒」「ボンベの設置部分のスペースが邪魔」と、機能性こそあれ評判はいまいち。

価格もホットバッグとセットで一万円前後で、「高い」との声も出ている。

新たに、自社調達へ乗り出しているのは「ストロベリーコーンズ」と「ピザーラ」。いずれも冬場前には全店で導入する予定としている。

「ピザ・ウイリー」は従来からのオリジナル保温バッグを踏襲。「リトルパーティー」は、昨年採用した家庭用電磁プレートの活用によるユニークな保温方式をリニューアルする考えだ(詳細は6面参照)。

「秋以降、円高でチーズ価格が高騰の気配。末端では五~七%の価格引き上げが予測される」(弊社・乳業担当記者)

ピザの保温ベースは熱々のチーズにある。チーズの価格・質を据え置くか、チーズを減らすか、質を下げるか。いずれも冬場の宅配ピザ店にとっては厳しい選択だ。

今年、保温システムが注目される背景には、こうしたチーズの相場予測も大きく絡んでいるようだ。

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