で・き・る現場監督:ばんどう太郎小山51号店・吉田秀子店長

1999.02.01 171号 15面

うどん・そばを中心とした和食ファミリーレストランチェーン「ばんどう太郎」。その小山50号店の店長を務める吉田さんは、五年前、皿洗いのパートから始まり、二年前正社員に、つづいて主任、次長を経て去年11月に店長となる。

「人とコミュニケーションを取ることが、向いていると思うんです。若い人から相談を受けることも多く、いつの間にか、若いスタッフと上の人たちとの橋渡しをするようになっていました」

パート出身の女性店長ということで、スタッフも親近感を持ってくれ、コミュニケーションも取りやすい。しかし、スタッフとのけじめがあやふやになり、わがままな部分が出てくることもあったという。そういう場合には、店長として発言し、一線を引くようにしてきた。

普段からのコミュニケーションで、信頼関係は築いているとの自信があるからこそ、スタッフを厳しくしかることもできるという。

吉田さんはスタッフに、「ばんどう太郎の見本となる店にしよう」と言い、そのために徹底していることが二つある。一つは元気にがんばるということ。

「50号店は特に元気があるねといわれるようにしたい。みんなが元気で働く姿を見てもらって、もう一度お客さまに来てもらおうというのが目標です」

まず元気なあいさつ、笑顔で客を迎える。そして、客一人ひとりに合った接客、一歩上の接客ができるように日々努力を続けている。

もう一つは、ルールを必ず守るということ。家庭的な雰囲気の職場なので、これくらいは…と慣れ合いになってしまうのがこわいと吉田さん。

例えば、タイムカードを押すのは、始業は制服に着替えてから、終業は仕事があがったらすぐに、などのごく基本的なルールだ。

名前を覚える

一歩上の接客として、客の名前を覚えることも大切と吉田さんは考える。しかし、客に名前を尋ねるのは失礼にならないかという思いがあったという。

そこで吉田さんが実践しているのは、「預金通帳」と呼ぶ、客に渡すサービスカードを使った方法。

一回目は、「こういうものをやっています」と、通帳をさりげなく渡すだけ。

二回目の来店で判を押す際、「お名前を書かせていただいてもよろしいでしょうか」と聞き、自分で通帳に名前を書き込む。断る客はほとんどいないらしく、違和感なく客の名前を聞き出すことができるのだ。

今ではこの方法を、「吉田式名前の覚え方」として、全店で実行しているという。

現在、コスト面での一番の問題は器の破損。一ヵ月で約五万円ものロスが出ているという。

「繰り返し注意を促すしかないですね。『みんなの給料に響くんだよ。だから大事にしようね』と。あとは、器の責任者を決め、スタッフの自主性に任せています」

女性スタッフの手本となりたいという吉田さん。

「ばんどう太郎の、ほかの女性店長たちと、もっと女性店長を増やしたいねって言ってるんです」

自分が輝いていられるのは、すべてスタッフのおかげと感謝の気持ちを忘れないからこそ、スタッフとの信頼関係をうまく築けているのだろう。

◆よしだ・ひでこ(ばんどう太郎小山50号店店長)=昭和28年栃木県出身。子どもの大学入学を機に、ばんどう太郎小山店へ夜間の皿洗いのパートとして入る。その後、働きぶりが認められ、平成8年4月に正社員として入社。小山50号店のオープンに合わせ、主任として移動し、翌年次長となる。そして昨年11月から小山店店長を命じられる。勤務時間は午前9時から午後10時まで。休日も、買い物や食事の誘いなどで出かける。

◆(株)坂東太郎/代表取締役=青谷洋治/創業=一九七五年/所在地=茨城県猿島郡総和町高野五四〇‐三、Tel0280・93・0180/「ばんどう太郎」「かつ太郎」「海鮮茶屋八幡太郎」「海のさむらい」などを展開する郊外型和食ファミリーチェーン企業/従業員数=社員一一〇人、パートアルバイト四〇〇人/年商=二六億円

◆「ばんどう太郎」小山50号店(栃木県小山市下国府塚七〇‐三、Tel0285・38・0138)店舗面積八五坪、一一四席。駐車場台数四二。従業員数は社員八人、パート一五人、アルバイト一一人の計三四人。

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