ヒット食材パワーの徹底検証:創味食品工業「創味そばつゆ」
外食市場の活性化に貢献した業務用加工食品の功績を記念表彰する「業務用加工食品ヒット賞」は、本紙創刊五周年を契機に各関係団体協力のもと創設された。これまでに「和食」「洋食」「中華」「給食」の四部門で計二四製品が受賞に輝いている。これらの製品は、昨今の消費低迷のなかでも元気いっぱいだ。ではヒットの要因は何なのか。このシリーズでは、受賞ヒット製品の開発コンセプトと成功要因を徹底検証する。今回は、和食部門で受賞した「創味そばつゆ」(創味食品工業(株))。
創味食品の「創味そばつゆ」は、つゆの“命”である「だし」にこだわった本格的なつゆ(希釈タイプ)として、その味が料理のプロに評価され昭和45年の発売以来、全国業務用市場で高いシェアを誇っている。
このそばつゆが発売された昭和45年当時は、大阪での万国博覧会開催をきっかけに外食需要が高まった時期でもあった。同社では、この傾向にいち早く着目し、万博の前年には関西風の「和風だし」(希釈タイプ)を発売、さらに大消費地である関東地方での需要を見込み、濃口醤油を用いて開発したのが同商品である。
吟味した、しかも厚削りの鰹節を用い、自社でていねいにとった天然だしを使用しているのが最大の特徴で、鰹節本来の自然な香りと奥深い味わいが生きている。
さらに、だしの風味を生かすため、厳選した本醸造濃口醤油を使用することで、調和のとれた、まろやかな味に仕上がっている。
こうした自然な香りと味を大切にするため、保存料や甘味料は一切使用していないのも特徴の一つだ。
使い方も、ざるそばなどのつけ汁としてはもちろん、関東地方ではそば・うどんのかけ汁に利用されることが多い。また、麺類だけではなく、天つゆ、丼のたれ、煮物、寄せ鍋のだしなど、あらゆる和風料理に利用できる万能つゆだ。
こうした本格的な味と汎用性を兼ね備えた同商品は、使用目的によって希釈するだけで、手軽に安定した味が出せるという点が評価され、単独の外食店からチェーン店、産業給食、業務用食品メーカーまで、あらゆる業務用に需要が拡大。現在では業務用和風調味料として欠かせないブランドとなっている。
同社は業務用の、しかも料理の味の基礎となる調味料メーカーとして、使用する業務店ののれんや信用に対する責任を考えている。
「商品開発の際には、本当にいいものを吟味して商品化し、発売している」という商品に対する真摯な考え方と、「使って下さる業務店がある以上は、たとえ需要が少なくても、商品を供給し続ける」という姿勢が、発売以来約三〇年たった今でも支持され続けている理由でもある。
◆創味食品工業(株)(山田亮社長、京都市伏見区横大路芝生二四‐三、Tel075・612・3333)昭和24年の創業以来、中華スープ、和風だし、そばつゆなど業務用調味料のパイオニアとして、「本物の味」を外食産業に提供し続けている。