厨房のウラ側チェック(18) 食品添加物の手品(その7)
合成着色料のタール色素としての緑色3号と青色1号及び2号について今回は説明する。これで、タール一二種を終わる。
緑色3号は、別名ファーストグリーンFCFと呼ばれ、金属光沢のある暗緑色の粉末。急性毒性はラットで経口、LD502㌘以上、慢性毒性データでは色素投与における影響は認められないものから、イヌで病理学的検査による皮膚、尿、リンパ節が緑に着色していた。
ガン原性では Grasso のラットデータで注射部位に肉腫の発生が認められた。また、生物学的試験でカゼインを基質とした人工消化化試験を実施したところ、本色素添加量を0から0・014%までの間で測定した結果、添加量の増加に伴って酵素活性は阻害された。安全性はこれのデータから不安を感じるため、読者は商品の表示を見て、摂取しないことである。
なお、米国とEC諸国では使用が禁止されている。
食用青色1号は、ブリリアントブルーFCFと呼ばれ、帯赤紫色の無臭な粉末である。急性毒性試験は、緑色3号と同様。亜急性毒性は本色素一~二%添加量の飼料でラットには異常が認められなかった。ラットの慢性毒性試験では異常が認められなかった。
イヌのデータもラット同様で異常が認められなかった。ガン原性では、ラットに皮下注射をした時に肉腫の発生を認めている。人工消化試験のデータでは、カゼインを基質としたペプシン+トリプシンの消化試験では、添加量の増加に伴って酵素活性が阻害された。また、本色素と赤色102号との混合色素添加の場合は、単独色素よりも酵素活性の阻害が大きくなった。
このような相乗毒性の不安は、今後ますます社会問題化するであろう。本色素はEC諸国では使用禁止となっている。
次に、食用青色2号、別名インジゴカルミンと呼ばれる暗紫褐色の粉末の安全性は、急性毒性としてマウスの経口投与LD502.5㌘/㎏、皮下注射でLD50405㎎/㎏、ラットの経口投与LD502㌘/㎏、静脈注射のLD5093㎎/㎏となっている。
慢性毒性、催奇形性、ガン原性については一九六五年、六六年の試験データでは有意性はみられなかったとしている。
しかし、西岡の『すぐわかる食品添加物ガイド』(一九九二年)では、ラットの皮下注射実験によって発ガン性がみられている。しかしながら、生物学的試験における人工消化試験では、青色1号と同様、トリプシン活性を食品添加濃度よりも低い濃度で阻害した。さらに、本色素を静脈注射すると全末梢血管抵抗、平均動脈圧は有意に上昇し、心拍出量、心拍数は有意に低下した。
以上、タール系合成着色料の安全性について述べてきたが、ポイントは、着色料使用の商品を摂取しない読者の行動である。
食品衛生コンサルタント
藤 洋