新店ウォッチング:ピザハットカフェ・パレットタウン店

1999.06.21 180号 4面

去る3月19日、臨海副都心の「ゆりかもめ」青海駅前に、新しいコンセプトの商業施設「パレットタウン」がオープンした。

パレットタウンは一〇年間という期限付きプロジェクトで、3月にオープンしたのはトヨタ自動車が提供する「MEGA WEB」を中心とする施設のみであるが、今回は、このパレットタウン内のフードコート棟に出店したピザハットの新業態「ピザハットカフェ」を訪れてみた。

このフードコートは、日本ケンタッキーフライドチキン(KFC)がグループのFFS業態を一堂に集めたもので、店舗は、パレットタウンの売り物のひとつである大観覧車の入口の真ん前に位置する、独立した二階建ての建物になっている。

青海駅から続く基準フロアである二階にはKFCが陣取り、一階のフードコート部分にはピザハットカフェのほか、昨年暮れにKFCグループのコムサネットと提携した「銀座木屋」ブランドの麺類「しこしこ亭」、同じく昨年、正式にコムサネットの傘下に入ったファンシーコーポレーションの「ファンシーダックス」と「天狗茶屋」の計四業態が軒を並べている。

ピザハットはこれまでデリバリー業態が主力であったが、ファストフード(FFS)業態として初めて展開するこのピザハットカフェでは、セット商品を中心にアイテム数を徹底的に絞り込んだメニュー構成で組み立てられており、例えば、ピザセットが二種で各六〇〇円、パニーニ(イタリアのサンドイッチ)セットは二種で各七〇〇円で、どちらもサイドとしてサラダかポテトが選べる。

ピザセットのピザは、角切りポテトをたっぷり載せたアイダホスペシャルやペパロニ・ポモドーロなどの四種類から選ぶ方式で、これらのピザやパニーニは、もちろん単品でも注文できる(ピザは各三八〇円、パニーニは四四〇円と四八〇円の二種類)。

そのほか、FFSではおなじみのドリンク類が各二五〇円、珍しいところではスムージーが二種類(各三〇〇円)など、価格帯を見ても、すぐ隣りの、しこしこ亭のチャーシューメンや海老天そば・うどん(どちらも六五〇円)と比べて、十分に魅力的な商品であると言えるだろう。

KFCグループは、ここ数年、提携や出資を行って業態の多角化を図ってきたが、今後は、こういったグループとしてのフードコート展開を百貨店やショッピングセンター向けに行っていく予定とのことで、今まさに静かな戦国時代を迎えているフードコート出店企業の業界再編は、一層進むであろうと予測される。

取材者の視点

今年の夏に全面開業を控えて、現在は五分咲きといった雰囲気が漂うパレットタウンだが、巨大観覧車のおかげからか、はたまたクルマ人気が相変わらずというべきなのか、臨海地区から見る東京湾の夜景を目当てにして、特に夕方から夜間にかけての集客には、目を見張るものがある。

これまで、ショッピングセンター(SC)などのフードコートの大半は、個人店経営者と、それをバックアップするフードコート専業のFC本部企業の独壇場であった。

ところが、SCの大競合時代を迎えて、フードコート対応型チェーンにとっての状況は大幅に変化している。

現状では比較的小さなマーケットであるため、あまり目立った動きとしてはとらえられていないものの、水面下では、将来のフードコート市場のシェア争奪戦が繰り広げられており、昨年あたりからは、提携・買収・合併などといった、業界再編の嵐が吹き荒れている状況だ。

このフードコートは、構造上、いったん外階段を降りてからでないと入れないというような、いくつかの問題を抱えていながらも、施設全体の強力な集客と、ほかに飲食施設がほとんどないこともあって、かなりの好業績を上げている。

しかし、夏以降に「メガショップゾーン」や「ヴィーナスフォート」などの商業棟が全面開業になった以降、状況がどのように変わるのかは、決して予断を許さない。

全面開業後のリニューアルの可能性を踏まえてか、店舗は徹底的なローコスト型になっているが、十分なバックヤードがないせいなのか、従業員が階段裏の一角に座って弁当を食っていたのはご愛きょうか。また、店内客席でアルバイトの面接をするのも止めたほうが良いのではないだろうか。

◆「ピザハットカフェ・パレットタウン店」/開業=一九九九年3月19日/店舗面積=五一四平方メートル(建物全体で)/客席数=二〇三席(建物全体で)

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