で・き・る現場監督:豪気南鴨宮店・平敷和子店長
「甲羅」「だんらん」など、ファミリー向けのレストランを展開しているみづほ野グループが、平成8年11月に小田原郊外に焼肉居酒屋「豪気」をオープンした。リーズナブルな料理と充実した設備、そして家庭的な雰囲気が人気で、常に二〇~三〇代の若いグループでにぎわっている。お客の目の前で混ぜ合わせ、辛みを調節する石焼ビビンバが一番の人気メニューだ。
その豪気で昨年9月から店長を務めているのが平敷和子さんだ。以前は蟹料理の甲羅でホール主任を務めていたが、オープン時に副店長代理に抜てきされて豪気へ。グループに入社する前の焼き肉店での経験と、ホールでの働きぶりを買われてのことだった。
「甲羅はカニ料理がメーンですから、高級感のある店づくりをコンセプトにしているんです。だから知らず知らず自分を装うというか、よそゆきになってしまったんですね。でも今は飾らずに、ありのままの自分でいられるんです」
平敷さんはまた、一度来てくれたお客の顔を絶対に忘れないという特技をもつ。リピーターには「先日はどうも」などとひと声掛ける気配りを忘れない。
するとお客も「おばちゃん、今日は何分待ち?」とか「おばちゃん、おすすめは何?」などと気さくに話しかけるのだ。
「うれしいですよ。私は店長さん、なんて呼ばれるより、おばちゃん! って呼んでもらう方が好きですから」
型通りのサービスではなく、家庭的な雰囲気を大切にしたいという平敷さんの願いが「おばちゃん」という呼称に、そしてリピーターという形に表れている。
初代店長からバトンタッチされた平敷さんは、レールから脱線しないことだけを考えて走り続けてきたという。とはいえ、スタッフの動きや厨房に常に目を光らせているあたりは、さすが看板を背負うだけの気概と風格を感じさせる。
豪気の店長として、一番気を使っていることは何かとたずねると、意外な答えが返ってきた。
「スープです。こう言ってなんですが、焼き肉の味というのは、結局は肉そのものの味、つまり素材で決まるものなんです。そこで、いかにして他店と差をつけるかというと、スープなんですよね。だから私は、豪気の味が変わらないようにチェックするのが一番の仕事だと思ってるんです」
その言葉通り、平敷さんは開店前にスープの味をチェックするのを日課としている。また、お客がスープを残していると、納得がいかず、洗い場に下げた後、こっそり口にすることもあるという。
「汚いと思われるかもしれませんが、なぜ残されたのか原因をつきとめないと、気がすまないんです。うちのスープは一番だという自負がありますからね」
味に関しては、厨房のスタッフとしばしば口論することもある。が、ぶつからない方がおかしい、けんかではなく、これは意見交換なのだと割り切る。
「スタッフは皆、素直でいい人ばかりです。私が自由気ままにやっていても、きちんとサポートしてくれるから助かります」
スタッフに対しての苦労や心配事などは、一切ないという。平敷さんの熱意がスタッフに伝わっていることは間違いないようだ。
店長になって一年がたった今、平敷さんは少しずつ欲が出てきたという。
「最初は売上げを落とさないことだけを考えていたのですが、今はもっと上へ、もっと上へ、って考えるようになったんです。店長として、売上げを伸ばしてみたいと」
負けず嫌いを自認する平敷さんが向上心を抱きはじめた今、さらなる活躍が期待できそうだ。
◆ひらしき・かずこ=昭和27年横浜生まれ。専業主婦だったが、一二年前、子育てがひと段落したのを機に、働くことを決意。焼き肉店、和洋折衷のレストランでの勤務を経て、平成4年にみづほ野グループに入社。昨年10月から豪気の店長に。「若い人たちと一緒に働くのがとても楽しい」と、休日はほとんどとらずに精を出す毎日だが、出社前と深夜1時過ぎに帰宅して一日を振り返りながら飲むコーヒータイムを、ことのほか大切にしている。
◆みづほ野グループ/代表取締役=馬場勉/創業=昭和49年/本部所在地=神奈川県平塚市桜ヶ丘二‐二二、Tel0463・35・1711/店舗数一九店舗/年商五五億円
◆豪気南鴨宮店/神奈川県小田原市南鴨宮二‐四一‐一、Tel0465・49・5551/店舗面積八〇坪・一一六席/従業員=正社員六人、パート六人、アルバイト一〇人/客層二〇~三〇代、男性、女性半々/客単価=二五〇〇円













