宅配ピザ特集:トップインタビュー=フォーシーズ・浅野社長

2000.02.21 198号 9面

‐‐昨今の業績について。

浅野 昨年前半は既存店ベースで前年同期比二〇%増と好調を維持してきた。後半の勢いは減速気味となったが、それでも通年では約五%増で着地した。前半の好調要因は、昨年の実績が低すぎたことにあると思われる。昨年の前半は天候に恵まれない週末が多かった。一方、今年は天候に恵まれた。天候は売上げにダイレクトにつながる。前半の好調を手放しで喜ぶわけにはいかないが、とにかくハイペースで売上げを伸ばしてきたことは事実だ。

‐‐最近流行のディスカウントについては。

浅野 各エリア別に戦略は異なる。ディスカウントが有効なエリアもあれば、そうでないエリアもある。例えば、北海道や九州など不況の影響が色濃い地域では、ディスカウントは売上げ増にダイレクトにつながる。一方、首都圏では不況にもかかわらずディスカウント効果はあまり出ていない。

‐‐今後の出店ペースは。

浅野 このような時期(不況)だからこそ出店ペースを加速しようと考えている。現在の店舗数は四七〇軒。近々五〇〇軒を超える予定だ。物件を入手しやすい今こそが、出店ペース加速の好機だと思う。

最終的には業界シェアの四〇%を取りたいと考えている。二〇〇四年までには一〇〇〇店舗展開を達成したい。もちろん既存店と新規店の立地には十分配慮しなければならない。いたずらに新規出店を加速するあまり、既存店とテリトリーがバッティングしてしまうのでは意味がない。

‐‐今後の宅配ニーズについては。

浅野 高齢化社会の到来とともに、ピザに限らずあらゆる分野で宅配という業態のニーズは高まる。それを見据えて当社ではイタリアンレストラン「トゥ・ザ・ハーブズ」、餃子屋「宇明家」などを始め、さまざまな食のジャンルにチャレンジしている。すべて、次世代の宅配ニーズを踏まえ運営している。まず「ピザーラ」をドル箱にして事業の中枢に据える。そうすれば、異業種への果敢なチャレンジが可能になる。

昨年、TVCMの経費をかなり減らした。その分、今期の利益は過去最高となった。この利益を新規事業開拓へ投入する方針だ。そして、当社の株式店頭公開についても二〇〇一年3月をメドに取り組んでいる。

‐‐新規事業については。

浅野 トゥ・ザ・ハーブズは現在一二店舗の展開。各店順調に売上げを伸ばしており、正直驚いている。とりあえず来年中には二〇店舗体制にする。宇明家は現在七店舗の展開。全店黒字経営で、事業は順調に軌道に乗っており、昨年暮れからFC募集を始めた。プレミアムハンバーガーの「クアアイナ」も好調。理想としてはピザーラとクアアイナをどこかでドッキングさせたいと考えている。

ピザとパスタでイタリアンテーストを売り物にするように、ピザとハンバーガーでアメリカンテーストをアピールする。ピザとハンバーガー。どこか共通する業態同士、複合業態で運営すると非常に魅力的な店づくりができそうな気がする。

今後の展開で最も早いのは宇明家だろう。宇明家は初期投資約一三〇〇万円で開業できる。多店舗化もスピーディーに進む。またピザーラのオーナーさんのサイドビジネスとしても魅力的だろう。

今後は当社のエース級を各事業へ投入し、全社的に事業展開を加速させる。FC募集もTVCMの放映も積極化する意向だ。

◆あさの・ひでのり=昭和28年東京生まれ。慶應義塾大学商学部卒。事業意欲旺盛で学生時代から旅行代理業務などさまざまな事業を手掛ける。大学卒業後、ラーメン店やビデオ店など数多くの小売店を手掛けた後の昭和62年映画「ET」で見た宅配ピザのシーンに直感し、同年「ピザーラ」をオープン。業界初のTVCM投入で一気に多店舗化を加速し、瞬く間に宅配ピザチェーンのトップに昇りつめる。現在、ピザーラを柱に外食ビジネスの多角化を推進中。

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