全国中華ランチ繁盛店特集:大阪「長江」

2000.06.19 206号 18面

中国料理「長江」(ちょうこう)がある大阪・北新地は、スナックやラウンジがひしめく一大歓楽街。しかし、その周辺はオフィスビルが集中するビジネス街でもある。昼と夜で雰囲気が一変するこの街にはレストランも多く、夜だけではなくランチタイムの集客も競争に勝ち残るための課題といえる。

長江は、昭和27年創業の中国料理店「焼賣太楼」(しゅうまいたろう)の系列店。開店して一二年目の、ビジネスホテル内にある店である。この店のメーンは夜の宴会料理だが、ランチタイムも盛況。昼の定食目当てのサラリーマンやOLで、正午から三〇分以内には満席状態になるという人気だ。

「お客さんの七割は男性で、人気の日替わり定食は売り切れゴメンの限定メニューです。女性には、ヘルシー感のあるグリーン定食が人気」と、店長兼料理長の石川和史さん。ユニークなグリーン定食は、ホウレンソウが入ったグリーン炒飯とハーフ坦々麺、シュウマイの組み合わせで、ボリュームもたっぷりだ。

グリーン炒飯は昭和53年からあるオリジナル料理だが、もともとは単品メニューのみだったとか。グリーン炒飯と坦々麺を一緒にオーダーする人が多く、七年前にセットメニューにしたところ大人気に。ホウレンソウのシャッキリ感と香りを残して、塩、コショウ、ごま油であっさりと仕上げた炒飯と、ピリッとした坦々麺の組み合わせが絶妙のハーモニーを生み出している。

また、焼賣太楼創業時からの看板メニューであるシュウマイが味わえるのも、この定食の魅力だ。具材には豚ミンチや野菜のほか貝柱やカニ肉も使用している。皮の巻き方にも特徴があり、上部まで皮で覆ってエキスを中に閉じこめている。特注の皮で一つ一つ手巻きするというこだわりの品である。

同店では午後1時以降にコーヒーサービスを実施。店内に告知しているわけでもないのだが、女性を中心にランチタイムをずらして来店する客が増えているという。また、中華料理店にはめずらしく広い座敷がある。座敷を活用し、今後は来阪するツアー客も顧客の対象としていく考えとか。

「家庭的で温かみのある店を目指しており、ホテル内だからというこだわりはない。ここだけのスタイルや雰囲気が出せたら」と、石川さん。焼賣太楼では五店舗の中国料理店を展開しているが、そばには大阪での創業の原点となった桜橋店もある。その店独自のカラーを出しながら客筋をつかんでいくことが重要といえるだろう。

◆中国料理「長江」(大阪市北区曾根崎新地二‐四‐一、ホテルサンガーデン堂島三階、06・6345・3287)企業名=(株)焼賣太楼/代表取締役社長=飯尾武生/営業時間=午前11時30分~午後2時30分、午後5時~10時30分(祝日9時30分)、日曜定休/坪数・席数=八〇坪・一四四席/客単価=昼九〇〇円、夜三五〇〇~四〇〇〇円/平均客数=一日約二二〇人

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