全国ピザ・パスタ繁盛店特集:金沢「もく遊りん食工房」

2000.07.17 208号 15面

金沢から三〇分ほど車を走らせた鶴来町は白山山系の豊かな森林資源に恵まれ、製材業と農業を基幹産業としている。その自然資源を活用し、木と身近にふれあい、木のよさを見直してもらおうと、地元の木材業者が標高六三〇mの獅子吼高原の麓に「楽しい手づくり木工館もく遊りん」をオープンさせた。

平成11年4月に、木材や木工品を展示・販売する「森のお店」をはじめ、毎週日曜日に木工教室が開かれる「きこり工房」などがある木造二階建ての本館がオープンしたのに続き、10月にはその一角に「もく遊りん食工房」がオープン。開店してまだ八ヵ月だが、獅子吼高原のあざやかな緑を背景に石窯で焼いた本格的なピッツァやハーブ料理が楽しめるレストランとして人気をよび、口コミなどで金沢からも多くの客が訪れる。

この、もく遊りん食工房をオープンするにあたり、メニュー決定の基本コンセプトとなったのが「木へのこだわり」。施設自体が木をテーマにしていることから、メニューもなんらかの形で木とかかわりのある料理をということで、まきを燃料に石窯で焼き上げるピッツァと、チップを使った薫製料理、自家栽培のハーブを使った香りの料理がグランドメニューとなった。

またテーブルやイス、ピッツァ用のプレートや取り皿もすべて木製。らせん階段状にフロアに段差があるスペースでは一席ごとに松や杉、ヒノキなど異なった材質のテーブルセットが置かれ、年輪や木肌の色の違いが楽しめる。

ピッツァは直径約三〇センチメートルのクリスピースタイルで、生地はイタリア産小麦粉一〇〇%。水は霊峰白山を源とする伏流水を汲み上げ、チーズは香りのよいモッツァレラチーズだけを使用。

定番のトッピングは、トマト・チーズ・バジリコのピッツァ八五〇円や、トマト・チーズ・ベーコン・ときタマゴのピッツァ一二〇〇円など二三種類。

中でもアンチョビのかわりに金沢の郷土食であるコンカニシン(ニシンのぬか漬け)を使ったピッツァや、香ばしさが特徴のコーヒーのピッツァ、リンゴやオレンジをトッピングしたデザートピッツァ(七五〇円~九〇〇円)は県内でも珍しく、リピーターに人気。

ランチタイムには、本日のピッツァにサラダとデザート、コーヒーが付いたAセット(一人分一三〇〇円)や、本日のピッツァに本日の一皿、サラダとデザート、コーヒーが付いたBセット(二人分のセットで二八六〇円)がおすすめ。

夕方5時からは、ディナーセット(二人分のセットで三八〇〇円)が登場するほか、季節ごとの食材による香りの料理が味わえる。

●売れ筋メニュー

〈一位〉ランチBセット(二八六〇円)

〈二位〉トマト・チーズ・海の幸と山の幸のピッツァ(一三五〇円)

〈三位〉リンゴのピッツァ(七五〇円)

●店舗メモ

◆「もく遊りん食工房」(石川県鶴来町八幡町リ一‐六、07619・3・9501)工房長=高田慈之/営業時間=午前11時~午後10時、火曜定休/席数=七四席/客単価=一三〇〇円/平均客数=一ヵ月約二〇〇〇人

●私の愛用食材

天然木を使った建物とまきやチップを燃料に焼き上げた料理の数々。あくまでも木にこだわり、つねに本物のよさを提案し続けたいと語る、もく遊りん食工房の高田工房長は、ピッツァの本場イタリアの味により近づけるため、小麦粉と二基の石窯をイタリアから直輸入。

地中海沿岸の強烈な太陽を浴びて育った小麦はコシが強くて伸びがよく、生地を薄く伸ばすタイプのクリスピースタイルでも比較的耐性が強い。

また、石窯は絶えずまきの火によって高温を保っているため水分の吸収率が抜群で、電気やガス窯を使う場合に比較すると数倍もパリッと香ばしく焼き上がる。

石川県ではほかに三店が石窯を採用しているが、二基を備えているのは日本でもここだけという。

トッピングの食材についてもできるだけ地物を取り入れ、山菜やキノコのシーズンにはスタッフ自身が山に入って採集するという念の入れよう。

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