魅力いっぱいの「石焼き料理」、創作料理は石焼きで
各方面で進む石焼き料理の導入とさまざまなメニュー開発。あるHPの飲食店検索サイトで「石焼き」を引くと、ヒット数が三〇〇件強。やはり石焼きビビンバが八割を占めるが、残りの二割はユニークな創作石焼き料理がいろいろ。着実な人気定着と活用の多様化がうかがえる。
「石焼きは間違いなく大ブレーク。他業種にも波及する」。高級焼き肉チェーン・叙々苑の新井泰道社長は三年前のインタビューでこう語った。高級焼き肉店でしかお目にかかれず、値付けも一五〇〇~二〇〇〇円のころである。
「焼き肉店は肉だけ売った方が楽だから、面倒な石焼きビビンバは敬遠してきた。だが、焼き肉ブームにより、一歩進んだメニュー開発(石焼きの定番化と価格引き下げ)を余儀なくされた」「石焼きのメリットは多大。なによりヘルシーで低コスト。焼き肉店で定番化すれば、他業態が応用し、創作石焼き料理がはやる」
いまや焼き肉店において石焼きビビンバは完全に定番化。価格相場も八〇〇~一〇〇〇円に下がり、「ビビンパ」チェーンなど、六五〇円前後のFFも登場。他業種ではユニークな石焼き丼が数多く現れ、石焼きパスタ、石焼きスープなど活用機運は高まるばかりだ。新井社長の予言通りになった格好である。
叙々苑でも石焼きビビンバがランチオーダーの四割を占める人気で、「今後、進化型として石皿による石焼き焼き肉をコースメニューに採用する予定」(皆川龍男常務)という。
焼き肉店のみならず広く波及しはじめた石焼き料理。その魅力は、(1)熱々の料理を最後まで楽しめる(2)パフォーマンス力がある(3)遠赤外線効果がある(4)食材原価率が低い(5)オリジナル(創作)料理に向いている(6)調理が比較的簡単、などだ。
また、石焼き加熱機器の開発メーカー・大貴産業(株)の鎌田正広社長は、「鉄板だと焦げてしまうが、石鍋だと香ばしい“お焦げ”ができる。これが石焼き最大の魅力」という。
今後ますます石鍋・石皿を活用した新メニュー開発に拍車がかかりそうだ。
◆石鍋ワンポイント
石鍋は、大陸系の硬い大理石(長水石など)をくり抜き研磨して作る。国内で使われている石鍋は韓国産か中国産がほとんど。以前は一器七〇〇〇~八〇〇〇円したが、最近のブームで輸入量が増え、一器三〇〇〇~四〇〇〇円に値下がりしている。
石鍋は、そのままま使うと割れる恐れがある。寸胴に沸かした塩水に放り込み、二〇~三〇分ボイルして気泡を無くし、全体にごま油をよく塗って、二~三日おくと、急激な温度変化に耐える頑丈な石鍋に変身する。
石焼きビビンバは韓国南西部・全州地方の名物料理。鍋肌にごま油を塗った石鍋に白飯を盛り、ナムル、ユッケ、卵黄をのせて焼くのが一般的。