うまいぞ!地の野菜(29)山口県ミニ情報「ほおかむり」
下関に近い豊浦町小串は、響灘に面した小さな漁港町。毎年4月3日、山あがりの日と称して仕事を休み、花見をする習慣がある。
この日は海辺に集い、各家庭自慢のごちそうを持ち寄る。この場に欠かせないのが「ほおかむり」。魚のすり身を昆布で巻いたものだが、愛嬌のある形は古くから多くの人に親しまれてきた。
このシンプル料理、小串でよくとれるイワシやトビウオを使い、包丁でたたいてすり鉢に入れ、ねばりが出るまでしっかりする。これに砂糖と塩で軽く味付けしておく。
別に水でふやかし長方形に切った昆布の水気を拭き取り、すり身をのせて二つに折る。これを干瓢で巾着風にくくり、砂糖、醤油、水で煮ること二~三時間。昆布はとろけるほど軟らかく、すり身にもしっかり味がしみこむ。二つに切ると、まるで手ぬぐいでほおかむりをした人の顔。
今では、ほおかむりも昆布を海苔巻き風に巻くスタイルに変わってきたのも時代の流れか。