飲食FC最前線(12)ファミリーレストランFC最前線

2001.04.02 225号 21面

昭和40年代の後半以降、外食産業は急速な成長を遂げた。外国企業が日本にどんどんと参入し、これに触発された国内の新興企業群も台頭する。この時代の外食産業の旗手がファミリーレストランである。営業時間が長く、気軽で手ごろな価格。家庭での外食の常識を覆す、まさに人口一億人総中流時代の外食にはうってつけの業態であった。

しかし、所得水準の向上、消費者ニーズの多様化により、今までのファミリーレストランも時代のニーズとはややかけ離れてしまっている。

顧客ターゲットは家族層、広い駐車場と幅広いメニュー構成、一〇〇〇円前後の低価格などがファミリーレストランの特徴である。

この業態が急成長したのは、昭和50年代前半ごろ。モータリーゼーションの進展、都心の地価の上昇とともに、郊外型ファミリーレストランが集中出店された。しかし、消費者ニーズの個性化にともない、各ファミリーレストランは差別化・個性化・専門化の道を歩みはじめている。

食生活の中心が「家族」から「個人」へと変化し、食卓を囲む一家団らんが消滅しつつある中、家族全員のし好が合うすべてのメニューがそろっているということは、飲食店にとってあまり必要ではなくなった。

また、限られた店舗面積の中で、何でもそろっているというのは、逆に見ると単調な商品しかなく、専門店に見られるような奥の深さはない。しょせんはセントラルキッチンにて調理された商品をストーブする(温める)のが主である。

また、マニュアルによって、標準化・統一化されたサービス、調理工程は、効率が良い半面、オペレーションを単調にこなすだけという弊害も生む。飲食店に一番必要な魂を一つ一つに込めるという作業がない。このような商売がバブルで目の肥えた客に通じるはずもない。

よって、ファミリーレストラン業界は、より専門的なメニューに特化したレストランへと移行しはじめている。

昨年のファミリーレストラン業界全体の売上げは三・六%増であるが、内訳は、「和風」五・四%増、「中華」一九・九%増、「焼肉」七・三%増と専門レストランが健闘している(日本フードサービス協会)。

このように総合的な品ぞろえから専門的な品ぞろえへの消費者ニーズの変化は、各ファミリーレストランFCにとっては、やや追い風となっている。

図1~3、表1では、多少の変動はあるものの数字的には安定した伸びを示している。

もともとノウハウなどを対価としてロイヤルティーを加盟店から得て商売するFC本部としては、総合的な品ぞろえよりも専門化・個性化しやすいという特性がある。また、価格面では大手の直営ファミリーレストランにはかなうはずもなく、ほかの面で差別化してきたことも時代にマッチした。

ただし、ハンバーガー、すしなどほかの各専門業態FCの低価格化によって、各業態FCとファミリーレストランFCの境があいまいになっていることは事実である。

ファミリーレストランFCにおいては、顧客ターゲットがファミリーというだけで、取扱い商品などについては、専門化されているところが多い。また、広い駐車場や店舗面積を有する必要性から、大きな資金(資本)・大きな土地を調達しなければならず、どうしても法人加盟が多くなってしまう。

アットホームなアメリカンダイニングの「トマト&オニオン」、ハンバーグ限定のファミリーレストランの「びっくりドンキー」、ベーカリーレストランの「サンマルクレストランチェーン」、焼き肉レストランの「安楽亭」や「焼肉屋さかい」などが代表的なFCであろう。

(中小企業診断士・三浦紀章)

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