焼き肉特集:関西の名店=五苑マルシン「焼肉五苑 高松中央通りハゼ店」

2001.08.20 234号 9面

大阪市中央区に本社がある五苑マルシン(株)(電話06・6944・2292)は、直営店とフランチャイズ店(以下FC)の両方で、北は北海道から南は沖縄まで全国に直営店三〇店舗、FC店六〇店舗を展開。中でもFC店舗は一九九九年11月の一号店(大阪市)からわずか一年九ヵ月で六〇店舗を出店した。

急速なFC店舗展開を可能にしたのは、同社が一九七八年から始めた外食事業の経験から構築した利益構造にある。同社の特徴である多角経営は、大手中華料理店のFC、直営での焼き肉店、焼き鳥店、居酒屋、お好み焼き店、ラーメン店にも及ぶ。その運営ノウハウと肉の規制緩和による価格低下という時代背景が、客に魅力のある低価格で提供しながらオーナーが高い利益(営業利益二五%以上)を得ることができるFC業態を確立させた要因だろう。

「本部と加盟店との共存共栄をモットーとする」というスローガンでの運営ノウハウの一部を紹介すると、生ビール一九〇円、一人前三九〇円(赤身肉はすべてチルド)、直営店と同価格の原材料、強制的な販促活動はしない、居抜き物件の利用や家賃に上限を設けるなど、思い切った集客政策と仕組化された経費削減政策を実施している。

EDLP、「店そのものが販促」(不必要な広告、キャンペーンなどはしない)を徹底することで、結果的に客の来店頻度が一・五ヵ月~二ヵ月以内と高く、競合店に対し競争力を持ちながら効率を確保している。問題といえば、「現在フランチャイズの公募はしていない」(社長付営業担当山下浩司氏)というところ。「公募ではなく、紹介紹介でFCでの出店をしてきた。それでも現在、順番待ちをしていただいている」「店舗はすぐにできるが、人の育成が追いつかない」(同)と語る。

同社のFCのオーナーになるためには、店長一人もしくは副店長との二人が同社の直営店に泊まりながら、最低五週間の研修を受けなければならない。一店一店が成功するためだ。

「現在、対応できる精いっぱいの十数店舗の方、二五人が同時に研修にきている」という。

異業種からの参入が多いという背景には、ローコストとオペレーションの確立があるようだ。

同社の理念に「素直」「情熱」とある。「素直に話を聞けない方、熱意の不十分な方は社長がお断りしています」(同)と語るあたり、FCチェーン店といっても最終的には人の力がキーワードのようである。

FC店の平均客単価は二二〇〇円、一店舗(一ヵ月)の平均売上げは一〇〇〇万円強。

◇企業メモ

◆五苑マルシン(株)(マルシングループ統括本部)/川辺清代表取締役/本社所在地=大阪市中央区内本町一‐一‐一〇、電話06・6944・2292/創業一九七八年大手中華料理チェーンの加盟店として開業、飲食業に進出/一九七五年飲食業拡大のため(株)かわべ設立/一九八八年焼肉五苑一号店(住之江店)オープン/一九九〇年カラオケ自由国OX‐Bオープン/一九九二年焼き鳥くし若まるオープン/中華・唐揚げ五苑(高松店)オープン、四国初進出/お好み焼き二蝶オープン/一九九三年(株)かわべフードサービスに社名変更/炭焼きステーキラーメンオープン/一九九七年中華かつ五苑オープン/一九九九年焼肉五苑FC一号店オープン/二〇〇〇年創作料理五苑オープン/焼き肉店は直営・FCあわせて年内に一〇〇店舗、来年度三〇〇店舗を目指す/無借金経営である。

◇店舗メモ

◆「焼肉五苑 高松中央通りハゼ店」(店長=林数馬、香川県坂出市、電話0877・59・2989、営業時間=平日午後5時~午前0時、日・祝日は午前11時30分開店、無休、坪数九六坪・一二六席、客単価二二〇〇円)

7月26日にオープンした焼肉五苑坂出店は、コンビニエンスチェーン、ドーナツチェーンも手がける(株)マルタケ(竹内務社長、高松市屋島西町一八九八‐四、電話087・841・4444)が、五苑FC店舗の五店舗目としてオープンした。

「店は客のためにあり、客の心を心とせよ」を実践中。日本一の焼き肉チェーンを作るのが川辺社長と共通の夢という。五店舗で年商一〇億円が目標。今期中に五店、トータル一〇店の出店を目指す。

〈メニュー例〉人気の上位三品はロース三九〇円、ハラミ三九〇円、アバラ三九〇円。もちろん生ビール(中ジョッキ)一九〇円はヒットメニューだ。

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