企業ルポ:「マルシェ」、今期中に800店舗を達成
マルシェ(株)(大阪市阿倍野区、電話06・6624・6123)は昭和47年、大阪市に大衆飲食店を開業。以来、串焼酒場「八剣伝」、居酒屋「酔虎伝」を中心とする積極的な出店で、今期中に全国約八〇〇店舗に到達、年商は約二〇〇億円(平成14年3月期見通し)規模になる。同時に物流については、昨年前期にEOS端末を全店に設置、サプライヤー(現在一五社)を絞り込みながら、物流の再編とコストの削減を推進し、結果的にサービスの向上と収益の確保を図っている。
デフレスパイラル・低価格戦争といわれる中、同社の平成13年中間期(9月)業績見通しは売上高一〇一億円(前期比一二・四%増)、経常利益七億五〇〇〇万円(同二七・六%増)、当期利益二億四〇〇〇万円(同四八・一%増)と順調に業績を伸ばす。
同社の出店施策の特徴は、FC店舗が全体の八割(直営店舗約二割)を占めることと、常に新しい業態を生み出す多業態(現在八業態)展開にある。
当初主力であった酔虎伝(一一一店舗、7月末時点)は、「競合他社がひしめく主戦場」(谷垣雅之社長)となり、環境は厳しい。現在の核業態は串焼き八剣伝(六四八店舗、同)で、店舗数は業界二位。「中核であり、今後も磨き上げながら伸ばしていく」(同)方針。
そんな中、「業界で勝ち残るために取組む」(同)という新業態の「居心伝」(一四店舗、同)を昨年6月にスタートさせた。
女性客をターゲット(平均五〇%)とし、客単価一八〇〇円台(平均メニュー単価二四五円、七三アイテム)に抑え、駅前立地の小型店(一五~三〇坪)を基本に展開している。
居心伝の客席回転率は二・二~二・三回転(八剣伝一・二~一・五回転)と高く、来店頻度が高いのが特徴。
女性の声を反映し料理のボリュームを小さくすることや、メニューを月に一度見直すことで、単価ダウンを回転数で補い、売上高を伸ばしている(同社内業態転換店比較)。
今期の出店目標は三一店舗、トータル四五店舗を計画、関東エリアを中心に名古屋、大阪で出店する。
また、客単価三〇〇〇円で郊外に展開していた「海鮮マルシェ」を見直し、客単価を二割下げた(二四〇〇円)豆腐と肉の店「ぷくぷくマルシェ21」に業態転換を進める。一方で、カジュアルダイニングで客単価三〇〇〇円と、大阪の心斎橋の中で一番安いハーブ料理とワインの店「ポタジェ」を今年4月にオープンするなど、新しいニーズに対応する新業態を生み出している。
「今まで(八剣伝、酔虎伝)は女性の構成が二割と低かった。これに対し居心伝は五割、ポタジェは八割強となり、今後は女性の感性を取り入れた店づくりを進めていく」(同)と語った。