御意見番・安売り競争の行き先を憂う:松山修二・松山コンサルティングオフィス

2002.01.07 243号 10面

マクドナルドの平日半額セールに始まったディスカウント・トレンドは、外食業界の流れを大きく変えてしまった。

すべての業種にディスカウンターが登場した。そして最も重要な変化は、お客様がその価格が当たり前だと認識しだしたことである。もう後戻りできないし、今後この傾向は加速してゆくだけだろう。

筆者が初めて米国に行ったのは約三〇年前、そのとき一ドル三六〇円の時代だったが、ランチで六ドル程度、ディナー一五ドル程度で、これは今でもあまり変わらない。当時月給四万円程度。ランチで二〇〇〇円以上は高いなと思ったものだが、今大卒初任給二〇万円、一ドル一二五円を考えると、今米国にやっと追いついたんだなと思う。

グローバルスタンダードの観点よりみれば今までの日本の特にランチが高すぎたといえる。今があるべき形といってよいだろう。

これからどうなるか? 答えは一つだけ。「二極分化」。ドトールなどのディスカウンターに対し今絶好調のスターバックス、ガストに対してのロイヤルホストなどの動きがまさにそうである。絶対的に安くするか、逆に付加価値をつけて価格を据え置くかまたは高くする。中途半端な真ん中が淘汰されてゆく。もう一つの二極分化が、大手企業への集中とパパママストアの廃業の加速だろう。

安値で経営を続けるためには、粗利益を確保するための仕組みが欠かせない。材料調達の仕組みだったり、人件費を抑える仕組みだったりする。これは大手企業に絶対にかなわない。大手と中小の差は、ますます拡大するばかりだ。

これからの中小、パパママの唯一の生き残り策は、顧客を絞り込み、その顧客が喜んで何度でも来てくれる商品、サービス、雰囲気をつくってゆくしかない。

◆松山修二(まつやま・しゅうじ)一九四九年大分県生まれ。七一年九州大学経済学部卒業。同年日商岩井入社。七七年ロイヤル入社し、ロイヤルホスト展開業務に携わる。八三年ロイヤル退社し、フードサービスコンサルティング三社で経験を積み、八七年松山コンサルティングオフィスを設立。フードサービス企業のマネジメントシステム構築、教育を中心に業務を行う。最近はISO9001/14001のシステム構築を一〇社に行っている。

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