地域繁盛店(札幌)テークアウトメニュー編:おにぎりのありんこ
一九八〇年に開店した「おにぎりのありんこ」は、テークアウトが主体のおにぎり専門店。どこを食べても具が味わえるサンドイッチ感覚のおにぎりが話題を集め、コンビニエンスストアやファストフードが台頭する中でも順調に売上げを伸ばし、現在は札幌市内中心部に三つの店舗を持つ。
開店当時は紅しゃけやかつお、こんぶといった定番商品を販売。転機を迎えたのは一九八八年、「ほかと同じでは仕方ない、感動してもらわないと売れない」という考えから生まれた「シーチキン」が大ヒット。最近では一般的となったマヨネーズ味のおにぎりだが、当時は珍しく、コンビニやスーパーにも並んでいなかったという。続いて開発されたのが「チーズかつお」。宅配ピザの登場に、何かチーズを使ったメニューを作れないかと考えた結果、カツオとの相性がいいことに気づいた。結果は大好評。デビューから現在に至るまで、一番人気となっている。
おにぎりは全部で一二種類。夏のウニなど季節限定品も登場する。
「種類を増やし過ぎると具の管理が大変で、コストもかかる。新鮮な具を扱うためにはこれくらいが限度。一番大切なのは味ですから」(南部均社長)
◆ひと言 羽根田店長
「お金をもらう以上はプロでなければいけない」を基本に、スタッフの育成に力を入れる。二ヵ月から四ヵ月の研修期間を設け、コメのとぎ方から水加減、握り方などを熱心に教育する。
「ご飯粒をつぶさずに、ふわっと握る」ことができない人の採用は断り、合格するのは半数以下という厳しさだ。「うちのおにぎりはおいしいから売れる。大切なのは味」という南部均社長の考えを、羽根田店長をはじめ、スタッフ全員が支えている。
◆愛用食材 宮城県産「ひとめぼれ」
コメと酒の販売店を経営する南部均社長が、「おにぎりのありんこ」をオープンさせたのは一九八〇年。「おにぎりが商品なので一番いいコメを使いたい」と長年の経験から選んだ食材はササニシキだった。その後、新たに登場したひとめぼれを最高級とし、現在まで変わらずに愛用している。香りがよくて適度な甘みがあり、どんな具材ともバランスよく合い、何より粘り気が少ないのがおにぎり作りに向いているという。
◆北海道中央食糧(株)/札幌市東区北八条東二丁目、電話011・731・4311
季節限定など12類のおにぎりを提供する「おにぎりのありんこ」
◆おにぎり(140~510円)
ぜいたくな具の使い方と握りたての温かさが人気のおにぎり。三店舗合わせて一日平均二〇〇〇個を売上げる。価格は一五〇gのレギュラーサイズで一四〇円(こんぶやうめなど)と一七〇円(チーズかつおやシーチキンなど)が主流。二二〇gのジャンボサイズは二二〇円と二七〇円の商品が中心だ。「すじこ」と「すじこめんたい」はレギュラーサイズ四一〇円、ジャンボサイズ五一〇円と、おにぎりにしては割高だが順調に数が出るという。
◆ポテトサラダ(110円)
道内産のメークインに、ハム、キュウリ、ニンジンなどを加えてあっさり風味に仕上げたポテトサラダ。一一〇円という手ごろな価格が、「おにぎり以外にも何か少し食べたい」という時のサイドメニューとして人気を集める。ほかにザンギや玉子焼き、コロッケ、スパゲティなどの惣菜があり、すべて一口サイズで、価格は一一〇円から二〇〇円。女性スタッフたちが定期的に勉強会を行い、味付けを確認しながら丁寧に手作りしている。
注文受けて握る三角形おにぎり
◆おにぎりのありんこ(札幌市中央区大通り西二丁目、札幌地下街オーロラタウン、電話011・222・0039)