本紙限定!今年の注目店:地方の繁盛店が東京進出
いま元気のいいのが地方の有力チェーンだ。ここ数年、大坂からは「ユージー・グローイングアップ」「ちゃんと」「バルニバービ」「小林事務所」が複数の業態を展開しているのをはじめ、広島の「茶茶」、京都の「まんざら」、名古屋の「ゼットン」、福岡の「ざうお」、静岡の「キルフェボン」など、地方のユニークな企業が東京に進出している。四国にある骨付き鳥の繁盛店「一鶴」も、昨年11月に横浜に店を出した。このトレンドは今年も継続するだろう。
地方企業が元気な理由は、ひとつは商圏の狭い地方では、繁盛店に育つまで時間がかかるが、その分ローコスト運営が確立している。不況に強い。とくに「バルニバービ」などファッション業界からの参入組は、店舗を自分たちで手作りし徹底的にコストを抑えている。東京の地価が下がったことで、彼らも出店が可能になった。
また、これまでの東京の洗練された店に消費者はあきている。「ユージー・グローイングアップ」のキリストンカフェなどは、テーマ性に徹底的にこだわり、アクは強いがファンをつかんでいる。ゼットンも名古屋メニューを斬新にアレンジして特色を出している。これまでは大衆に受けるメニュー作りが基本だったが、これらの店のように、個性を前面に出し、一点豪華主義のアンバランスさが、いまどきのカフェのような居心地の良さをかもし出しているようだ。地方の洗練されていない個性的なメニューが消費者には新鮮に映る。二等立地も隠れ家のようで受けるのだろう。
ファストフードでは、マクドナルドなどの大規模なハンバーガー業態ではなく、行列のできたシナボンなどのように、軽量小型の店舗の業態が増えるだろう。米国のファストフードで、まだ日本に進出していないのはホットドッグだ。ニューヨークヤンキース公認ホットドッグのネイザンスが日本進出に向け準備をしている。ネイザンスの特徴は小型のキオスクやカート(屋台)。単独出店だけでなく、他の飲食店や小売店などとの複合店戦略で、場所を取らないため容易に出店ができるのが特徴だ。(王利彰)