シーフード調理学(13)タコ<1>世界の漁獲量の半数は日本が消費

2002.03.04 247号 11面

日本人は世界有数の魚食民族ですが、タコも例外ではなく消費量は世界一です。ここ数年の日本におけるタコの年間消費量は十数万tを数え、世界全体のタコ漁獲量の半分以上を食べている勘定になります。

この数字だけを見ても、日本人がいかにタコ好きかということが証明されますが、言い換えれば外国人はあまりタコを食べないということにもなります。欧米人の大半が、ぬめり気のある肌、特異な動き、その風貌などから「デビルフィッシュ」(悪魔の魚)と呼び嫌悪感を抱いていることはよく知られております。

タコは鮮魚店やスーパーの鮮魚売り場、調理加工されてたこ焼きチェーンなどで扱われておりますが、アジやサバなどと同じ仲間ではありません。分類学上ではイカやアサリ、シジミなどの貝類と同じ軟体動物に含まれております。

一口にタコといっても、世界中で二〇〇種類ぐらいあるといわれ、日本近海で漁獲されるものだけでも四〇~五〇種が確認されております。

一般に食用として扱われるものにマダコ、ミズダコ、イイダコがあげられます。その中でマダコは食用の大部分を占める最もポピュラーなもので、酢だこにしたり、すし種やおでん種、刺身やたこ焼きの材料にされるなど、その用途も幅広くなっております。

またミズダコは、その名の通りマダコに比べると水っぽく味もやや劣るため、着色など加工され、酢だこや味付けたこ、として出回っております。さらにイイダコは、足の長さまで入れても二〇センチメートル前後しかない小さなもので、煮だこや干しだこにされることが多いようです。

マダコは頭、胴、腕の各部からなりますが、一般に頭と思われている部分は胴です。頭は胴の下にあって目があり、目の反対側に噴水孔があります。全長約六〇センチメートル、八本の腕には吸盤があり、この吸盤は雄の方が大きい。環境に合わせて体の色を変えられる特性を持っております。

近海ものとアフリカダコとの区別は、吸盤で見ます。アフリカ産は吸盤がピンク色で薄いアズキ色ですが、近海ものの吸盤は黒っぽいアズキ色をしております。

上手な選び方としては、まず足を見て、クルリときれいに内側に巻いているものを選びます。胴がヌルッとして皮がはげているようなものは、日がたっている証拠なので要注意のこと。タコの足だけを購入する場合は、表面にぬめりがなく、身に弾力のあるのを選べばよいでしょう。

(『ニューデリカ通信』編集長 染矢清亜)

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