辛口・外食にモノ申す:「北の家族」倒産の真実(1)

2002.04.01 249号 23面

居酒屋チェーン「北の家族」は、新宿・歌舞伎町をはじめ東京盛り場の饗宴の象徴、安くて騒がしい若者たちの溜まり場である。こんな北の家族が、本年1月17日にあえなく倒産した。負債総額は、年商に匹敵する一一六億円。実は、この件を取材していてとんでもないことがわかった。北の家族は、実態のわからない株の投資集団、無から有を生み出す錬金術集団に、手玉に取られて倒産したということである。なぜか大手マスコミは、この事実を書いていない。しかしちょっと調べると非常に怪しい倒産劇であることが分かる。

北の家族の倒産は、飲食経営の結果ではなく錬金術集団に食い物にされた結果の倒産であった。北の家族の倒産は、親会社の冷凍食品(株)ケイビーの倒産による連鎖倒産である。ケイビーの借金の肩代わりで倒産したのだ。回収不可能になった不良債権は、ケイビー関連企業、東京フレッシュフーズとオリエンタル商事の二社の精算に伴う負債である。判明している金額で八〇億円を超える。

経済誌(週刊東洋経済二〇〇一年12/15号)にも、この債務の不自然な大きさが“異常な額”としてスクープされている。そして、この倒産劇を演じた(株)ケイビーの実質的な持ち株会社、長谷川経済研究所(株)という経営コンサルティング会社が非常に怪しげな会社なのだ。

長谷川会長は九州出身の実業家で、若いころは福岡市職員、その後頭角を現し福岡県で有料老人ホーム五ヵ所を経営している。ホームの日用雑貨からクリーニングまで、長谷川ファミリー企業が独占。熊本県の(株)ケイビーを買収し店頭公開へもっていった。その後、北の家族を株式市場で公開買収。以後、二社の店頭公開企業を中核とした長谷川グループをつくり上げた。

しかし、グループ企業相互に出資・増資や貸借や売買を繰り返し、絡み合うような複雑な債務・貸借関係をつくり上げ、こうして“操作”されて生み出された何百億円という資金が、今回の倒産で泡のように闇に消えてしまったのである。

次号は、倒産劇の真実・第二回を掲載する。

((有)日本フードサービスブレイン代表取締役・高桑隆)

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