地域繁盛店(長崎)ヘルシーメニュー編:ビッグママ
官庁街の中にありながら、主婦を中心に、訪れる八~九割が女性客という店。有機・無農薬野菜や自然米を使ったヘルシーメニューは、こだわり抜いたものばかり。メニューは野菜中心で構成されており、食材は生産者がはっきりと分かるものしか使わない。卵は有精卵の地鶏卵、ソースやたれもすべて自家製。いい野菜を使っているので、素材の味を大事にしたいと、調味料にも気を遣う。そのため、コストはかかるが、野菜の味を引き立てるためには、調味料を使う量は少なくてすむ。
また、主食であるコメは玄米や農薬を使っていない自然米を使用。しかも圧力鍋で炊くため、もち米のようなもっちり感がある。パーフェクトな栄養バランスを持つ玄米を、さらにいい状態で食べてもらいたいと、テーブルの上にはご飯にかける黒ごまが置かれている。常連客の中には、たくさんのごまをかける姿も見られた。このほか、カフェメニューも充実しており「島原産・特Aクラス低温殺菌牛乳」「国産はちみつトースト」など、ここにも素材へのこだわりは表れている。
食材に妥協しない姿勢こそが、客をひきつけているのだろう。健康に気を遣う女性たちが足を運ぶのももっともなことである。
◆ビッグママ(長崎県長崎市築町一‐三〇、電話095・823・9553)
◆ひと言 松本チヅ子店長
「はっきり言って、店を始める時から儲けはあまり考えていませんでした。昔ながらの食材を紹介したかったのと、とにかく、本当にみんなに体にいいものを食べて欲しいんです」と店長の松本チヅ子さん。
その思いが伝わってか、店には若い女性の姿も多い。店を手伝ってくれる母親の健康管理も兼ねているそうで、「病院代が浮けばいいですからね」と語った。
家族の健康への気遣いが、訪れる人の健康に見事につながっている
◆愛用食材 玄米酢・昔づくり醤油
素材を大切にしているからこそ、その味を引き立てるものをと、調味料にも気を遣っている。中でも、「玄米酢」は普通の酢よりソフトで、使いやすいと愛用している。砂糖をあまり使わなくても味付けができるとあって、健康を気遣うこの店ならではの心遣いが見られる。酢の物はもちろん、レンコンや昆布などを炊く時にも使うとか。ヘルシーメニューには、欠かせないものだ。醤油も同じメーカーの「昔づくり醤油」を愛用している。
●(有)マルカ醤油本店/長崎県南高来郡有家町久保三八三、電話0957・82・2041
◆玄米定食(800円、午後5時以降は900円)
野菜を中心に七種のおかずと、玄米、味噌汁がセットになった看板メニュー。この定食を求めて訪れる人は多い。メニューは、その日の仕入れによって異なるが、ヘルシーさとボリュームは変わらない。写真のメニューは煮物、ゴボウとレンコンのきんぴら、ポテトサラダ、オクラの酢の物、玉ネギの天ぷらなど。素材も味も素朴で家庭的だが、一枚の皿に盛り付けられた料理は、とてもセンスがいい。これも、女性客が多い理由だろう。
◆カレーライス(700円)
普通のカレーライスを想像していると、まずは黒米と小豆を使用したご飯に驚く。カレーは、骨付きのチキンでだしを取り、ビーフを使用。味の決め手は、独特のとろみ。このとろみはすべて野菜から出るもので、特に玉ネギのうまみと甘みが、その味を作り上げている。カレーライス全体にテーブルの上の黒ごまをかけて食べる人も。
その日のあるもので、カレーに合うものが一品付く。写真は、リンゴ(紅玉)を煮たもの。