施設内飲食店舗シリーズ 「天王洲アイル」(東京・品川)
東京・品川区東品川に位置する“運河の街”「天王洲アイル」については、去る2月15日号でレポート済みだが、この4月内をメドに新たに複合型都市ビル「スフィアタワー天王洲」(地上120m、地下2階、地上27階建、建築主三菱商事)が竣工する。
スフィアタワー天王洲は、東京モノレールの天王洲アイル駅とはスカイウォーク(空中歩道)で続ばれているが、もちろん、地上からもアクセスすることができる。
同ビルは、隣接(既設)の東京MIビル(地下一階・地上二二階)ともスカイウォークで直結されており、これによってビル商業施設の一体感を一層強めることができる。この空中歩道はすべて二階部分の商業・飲食ゾーンのフロアレベルでジョイントしているので、ビルの外に出ることになし、ビルからビルへの移動も気軽に行うことができる。
同ビルはオフィスほか、リラクセーションの「天王洲倶楽部」(二四~二七階)、ショップ&レストラン「スフィアガーデン」(一、二階)、多目的ホール「スフィアMEX」(三階)、一三七台収容の駐車場(地下一、二階)からなっており、先行する「シーフォートスクエア」のホテル、劇場、商業ゾーンと一体化して、新たな都市機能を発揮する。
ビル竣工に伴っては施設内の就業人口を約二〇〇〇人、施設(地域)からの来街者を一日当たり四〇〇〇人前後と見込んでいる。
ビル内の飲食施設は、「天王洲倶楽部」に最上階(二七階)の眺めを活かした総ガラス張りのバー、カフェテラス、和食カウンター、二六階にはイタリア料理をよりカジュアルにしたメーンダイニングルーム一、二階の低層階にはハンバーガーや牛丼、居酒屋、カラオケ・パーティルームなど七店舗を展開。
これら飲食施設は、基本的な考え方としては、オフィスサポート(施設内充足)型の商業店舗としているのだが、先行するシーフォートスクエア同様に、水辺の整備や都市空間が積極的に展開されているので、地域外からも多くの人を吸引できると期待している。
「もちろん、このビルも天王洲アイルの都市機能を構成する一つなんですが、しかし、商業施設についてはビル内オフィスの消費(商業需要)に対応するというのが基本的な考え方です。だが、シーフォートがとくに土・日は若い人達(来街者)のデート・スポットになっている面もあるので、一般の来街者のご利用も大いに期待できると思っております」(施設管理会社スフィアコーポレーション)。
商業施設分野については、ショップ&レストランの「スカイガーデン」が4月12日、飲食とリラクセーションの「天王洲倶楽部」が4月27日のオープンで、新たな都市スポットとしての利便性が注目される。
◆予約制「天王洲倶楽部」
都市で働き生活する人々が①休息し②リフレッシュし③味わい④出会い⑤交流する‐‐という五つの要素をコンセプトとした施設づくりを実現している。
しかし、施設利用については「予約制」で、来街者が自由に利用できるというシステムにはなっていない。特に、リラクセーションについては、法人の社員、従業員の福利厚生を目的とした「法人利用登録」制度を設けており、オフィス支援施設としての機能を強調している。
登録料一〇〇万円(三年間有効)、法人負担金年間九〇万円(月額七万五〇〇〇円)という入会システムで、メンバーには月々二〇回分の利用券(一名、当日限り)を発行する。
フリーで利用する場合は、利用料金九〇〇〇円でプール、ジャグジー、ロッカールー、リラクセーションルーム、バス、サウナ、ジムなどの施設を利用することができる。
一方、クラブ内はすべてキャッシュレスシステムになっている。
飲食施設は二六、二七階に広がる四エリアで、一八世紀後半から一九世紀にかけてのヨーロッパの新古典主義(ネオ・クラシシズム)を基調としたデザイン空間としており、フロア二層を結ぶ螺旋階段が大きなアクセントとなっている。
・メーンダイニング‐二六階。新鮮な素材を活かした“本格的なイタリアンプロヴァンス料理”をラインアップ。プライベートダイニング三室、四~二四名収容。
・和食カウンター‐二七階。東京湾が一望に見渡せる地上一二〇mの世界で、旬の素材を多用した日本料理を提供する。個室三室、六~一四名収容。
・バー‐窓全面に広がる東京湾の夜景と、ヨーロッパ調の本格的なインテリアの落ち着いた大人の憩いのスペース。
・カフェテラス‐プールに併設する形の飲食施設で、パスタ類をはじめスナック、コーヒー・紅茶、ビール、ソフトドリンク類、ケーキなどを提供する。
◆「スフィアガーデン」
《ハンバーガー、居酒屋、牛丼が出店》 一、二階の低層階でのフロア展開で、延床面積約八八〇坪、飲食店舗七店、物販店舗二店、サービス店舗一店の計一〇店からなっている。
このうち、飲食店舗は延床面積二七五坪、約三五〇席で、ハンバーガーの「モスバーガー」、牛丼の「吉野家」、居酒屋「藩」などの大手チェーンビジネスが入居しており、シーフォトスクエアとは趣きが異なった、よりカジュアルな店舗(業態)ミックスが大きな特色となっている。
◆「スフィアMEX」
講演会やセミナー、展示会、イベント、プレゼンテーションなどの多目的スペースとしての位置づけで、ホール面積六〇坪、最大で約二〇〇人を収容できる。
施設装備として、八七インチ四面マルチビジョンシステムや、映像設備ほか、ケータリングサービス機能も導入しており、立食パーティーを展開することも可能な空間となっている。