新時代アレンジのポイント(5)オムライス編
米飯メニューは一般的に粗利益率が高いという利点がある。なかでもオムライスは、調理や提供法の工夫でさまざまな付加価値付けが可能で、自店の客層にマッチした商品開発をできるところが魅力。主原料である卵やコメはそれ自体が低原価なので、それを生かして低価格で売るメニュー開発もいいし、原価が安い分を他の副材料にかけて魅力づけをし、比較的高めの価格で商品化するのも一法だ。
いまの流行はソースで食べるオムライスと、いわゆる半熟に調理した卵を強調したスタイルが主流のようで、この両者を組み合わせた形の商品も最近の売れ筋だ。ただ、オムライスはやや味が単調になるうえ、素材数も少なく、変化に乏しい食事になりやすい傾向もある。
そこで、これからのオムライスメニューでは、もっと料理的な要素を強めたものや、バラエティー感のある食事としてのメニュー開発を考えるといい。ひとつの方向としては、ソース類を具材感のあるシチュータイプのものにしたり、ソースの代わりに煮込み料理的なものを添えるといった手法がおすすめ。
野菜の煮込み料理であるラタトゥーユ的な料理やグリルした野菜類を添えてヘルシー感を訴求した商品も女性客に受けそうだ。
味の面でこだわるべきは卵の味。卵自体を有精卵や特殊飼料卵にしてもいいが、手っ取り早く味の違いを訴求するなら調味料を工夫。おすすめは業務用の発酵バター。オムライスの卵を格段に風味よく、おいしく仕上げてくれる。
(FSプランニング代表・押野見喜八郎)
◆業務用食材活用のポイント
メニューバラエティーを増やすには業務用の調理ソースの利用が便利。グラス・ド・ヴィアンドやフォン・ド・ヴォーなどの製品も併用すれば、本格洋食店風の味づくりもできる。ライス用ミックス調味料も使い勝手が良い。
◆低価格メニュー開発のポイント
オムライスは原価そのものを低くするよりも、付加価値付けをすることで比較的高めの値付けをし、原価の「率」を低くするのがポイント。効果的なのはトッピング具材でボリューム感を訴求する方法。フライ物の人気は高いが、同じ素材でもフリッターやピカタグリルなど、調理法を変えたものも考えたい。
ソースを二色や三色にし味にバラエティーをつけたり、野菜などの低原価なガルニやミニディッシュを組み合わせるのも効果的だ。
◆ヘルシーメニュー開発のポイント
ハイカロリーなメニューという印象が強く、ダイエットのコンセプトではヘルシー感は訴求しづらい。工夫のポイントはソースと具材にある。ソースならば野菜をベースにしたものや、和風感のあるものを使ったり、従来のメニューに使われるものでも、ハーブ類をまぜたり、ローカロリーなキノコ類を入れるなどでヘルシー感を訴求できる。具材は野菜類の使い方がポイント。野菜を多用することで栄養バランスの良さをイメージさせると良い。