関西版:優興物産、創業40年活況の「とんかつ豚晴」、夕方までがランチタイム

2003.08.04 271号 20面

優興物産(株)(大阪市北区、電話06・6312・2238)は、大阪の地下街を中心にとんかつ店四店舗、洋食店三店舗、スパゲティ店一店舗、創作居酒屋一店舗を展開している。出店から四〇周年を迎える「豚晴本店」をはじめ、「とんかつ豚晴」は手作りのおいしいとんかつ屋として、大阪人や近隣のビジネスマンから親しまれ行列が絶えない。

「地上には出店しない。特に、とんかつ二店舗、洋食一店舗、創作居酒屋一店舗を出店する梅田の地下街は、一日に七〇万人が通行する日本一の地下街である。その一〇〇軒近くある飲食店の中で、当社の成績はナンバーワンクラス」と言うのは同社の沢田允宏社長。

「二~三年前から少し落ち着いたが、ナンバーワンの本店では、日曜日一日の売上高が一四〇~一五〇万円。一日平均の客数約七〇〇人、二三坪の店舗で坪当たり一〇〇万円を売上げてきた」(同)というから驚きである。とんかつ豚晴の提供価格はランチの定食八〇〇円~、客単価は昼夜合わせて一一〇〇円である。

「セントラルキッチンは持たず、とんかつはすべての店舗で当日仕込み。注文があってから作り、熱々を提供している。こだわりの一つとして、創業以来継続して高品質な綿実油を使用している。高価だが、つけ合わせの野菜と調和して胸がもたれない。子供から大人までに好かれる自慢のソースは一種類のみ」(同)と繁盛店の秘密を明かす。

一貫して地下街に出店する同社だが、理由の一つは地下街はランチタイムの客が夕方まで切れないところにある。同社ではランチタイムを5時まで継続しており、約七割の売上高は午後5時までにあがるという。人通りの多さに加え、近隣にある百貨店での買い物や映画館での鑑賞を終えた人や、夜の商売の人が出勤前に来店するなどで客足は途切れない。また急な雨が降ると満席になったり、暑くても寒くてもお客様が増えるという。地下街立地の魅力である。

創業当時の提供価格は「ヒレとんかつ定食」が四八〇円(現在一二五〇円)、サービス定食の「カツ定食」が一八〇円(同八〇〇円)だったというから、ヒレとんかつ定食がいかに“ごちそう”だったかわかる。

「創業当時、とんかつ店は大阪にほとんどなかったが、オープンして以来ずっと満員が続き、順調に経営してこられた。二回のオイルショックやバブルの崩壊も逆に忙しくなった。“ささやかなぜいたく”だったのかな……」(同)と述べる。

一方全く新しい試みとして昨年4月にオープンしたのが「楽食ダイニング灯家」。“量よりも喜ばれる味づくり”をコンセプトにしたことで、利用客のほとんどがOLを中心とした女性で、連日にぎわっている。

同社が実施したアンケートでは、「周辺には女性が一人で安心して入れる店が少ない」という意見があったというように、“癒し”を求める女性が、落ち着いた雰囲気で、少量多品種のメニューの中から好きなものをチョイスできる。食と空間の両方で安心できる場を提供している。

昼の時間帯(午前11時~午後5時)は日替わりランチ主体で、ランチ七八〇円~。プラス一〇〇円でドリンクを提供している。夜(午後5時~10時)は酒をメーンに、料理は一品の内容量を比較的少なくし、リーズナブルな価格帯の三〇〇~四〇〇円で提供。客単価は、昼八〇〇~九〇〇円、夜二五〇〇~三〇〇〇円である。

同社は、楽食ダイニング灯家の流れを受け継ぐ新店を近くオープンする計画で、メニューは灯家の既存メニューにさらに創作的な要素を取り入れ、全体的に洋風の構成にする予定。

ほかに洋食は「洋食屋とんはる」「洋食 豚晴」を三店舗、スパゲティ店「スパゲティ&サラダ パストラーレ」を一店舗展開している。

◆「とんかつ豚晴」=現在、大阪北地区(梅田地下街)に二店舗、南地区(なんば周辺)に二店舗を展開。家賃と保証金の高い地下街の立地の良いところだけに出店している。店舗面積は二〇~二八坪、客席数四〇から五八席。

◆沢田允宏社長=大学卒業後すぐに名古屋の一流とんかつ店「八千代」で修業。昭和38年梅田地下街のオープンに合わせ一号店を出店。当時二三歳で優興物産(株)を創業、現在六二歳。

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