名古屋版:NAGOMU(飲食店経営者会)セミナー開催 本気で話せば元気が出る

2004.06.07 286号 16面

名古屋の飲食店経営者で組織している「NAGOMU」(事務局=(株)アクティム内http://www.nagomu.com)は、定期的に経営セミナーを開催している。第一三一回目となる今回は、ナゴム会員である(株)かぶらやグループの岡田憲征社長と(株)ゼットンの稲本健一社長に「本気で話せば元気が出る」というテーマでパネルディスカッションを行った。さまざまなメディアに登場し、有数のオピニオンリーダー的存在の二人がここでご対面。久しぶりのツーショット対談にたくさんの飲食店が参加、熱く檄を飛ばす二人に会場は盛り上がった。

岡田 最初から厳しいことを言わせてもらうと、たかが二、三年店を経営している人間が他店の批判ばかり。そんな暇があれば自分を磨いていただきたい。

稲本 NAGOMUの発足はお互いを高め合うのが目的だが現在、セミナーへの出席率が低いのが実状。名古屋の飲食業を発展させるためにもっと切磋琢磨し合う必要がある。

僕はメディア派といわれているが、メディアに公言することでそれを自分に課す。しかし「出る杭は打たれる」式にさまざまな中傷もある。人の中傷をするくらいなら自分で行動に移すべき。何もやらずに批評家になりすぎている。

名古屋の人は勉強熱心でいい店については情報通になりすぎている。僕の場合をいうと、三店舗目まではFLコストの意味すら知らなかった。最初はとにかく遮二無二前へ進むことに集中すればいい。

岡田 名古屋の経営者は仲が良くコミュニケーションも密のためか、独創性に欠けることが難点。同じ視点で同じ見方をしがち。これは飲食店経営にとってメリットは一つもない。仲間意識を持つのはよいがすべてが平均点でありすぎる。若い経営者に言いたいのは、突出してほしいことだ。

稲本 皆、頭の中だけで計算しすぎる。既存店にプラスアルファを付加し、そつなく新しくする。焼酎ブームだから焼酎をそろえて形だけ整える。それって楽しいのかな。

店づくり、料理、サービスにもっとクリエーティブになるべき。まねじゃなくこうしたいからこうするという強い気概が足りないし、夢を語るシーンが少なすぎる。予想のできる店づくりはだめ。強烈な個性が問われる時だ。

岡田 名古屋のマーケットは熱いと、高い評価を得ている。だが名古屋の経営者は危機感を持つものの、傷口をなめ合っているようにしか見えない。

稲本 市場の大きい東京では渋谷、銀座、池袋など一つ一つの街が名古屋と同じ規模を持つ完結型だ。だから渋谷で失敗しても銀座では成功したり、恵比寿で失敗しても六本木ではうまくやれたりする現象がおきる。僕にとっては東京は市場が大きいし、商売はやりやすい。でも名古屋はクリエーティブなエネルギーこそ劣るけれど、経営者のレベルは東京とさほど変わらないと思う。

岡田 だけど、渋谷で成功しない店は銀座でも成功しないんじゃないかな。商売そんなに甘くないからね。

稲本 実を言うと今度渋谷に出店するけど、東京ほど街々によって人が異なるのもない。でも名古屋の場合マーケティングいらずの分、感性が求められるのかもしれませんね。

岡田 とにかく今最も欠けているのはスキルではなくマインドの部分だと思う。

稲本 また東京との比較論に戻ると、名古屋ではプロのアルバイトや料理人、サービスマンが少ないと思う。でも東京ではそれぞれの意識が高く幹部、スタッフたちがプロフェッショナルだ。

岡田 それは同感。少しだけ東京の方が意識が高いし、その少しだけというのがやがて大差になっていく。同じ修業するのでも東京のスタッフの方が伸びていく割合が高い。ハングリーというのか従業員の空気感が違うのだと思う。

‐‐貴重なご意見をありがとうございました。

岡田・稲本 少々辛口になりましたが、これも叱咤激励と思って勘弁してください。頑張っていただきたいからこそです。

<プロフィル>

◆(株)ゼットン・稲本健一社長=平成5年ビアガーデンのプロデュースにかかわり成功を収める。翌年「喰呑屋敷へっつい」オープン後、(株)ゼットンを設立、第一号店「ZETTON」を名古屋を中心に展開を開始する。東京出店で石焼ひつまぶしや味噌串かつなど名古屋めしブームを巻き起こす。

現在は名古屋、東京、京都に一七店舗を展開するほか、新進デザイナーの店舗開発にブレーンとして参画するなどプロデューサーとしての評価も高い。今年は来年開催の「愛知万博」に向け「徳川園」や「ランの館」にレストランを、また「中部新国際空港」にカフェバーをオープンする予定。

◆(株)かぶらやグループ・岡田憲征社長=平成4年かぶらやグループを創業。京風串揚げの店「飯場」を繁盛店に次々と展開し、名古屋では飲食不毛地帯であった納屋橋や金山にいち早く出店。地域開発に大いに貢献、「飲食店が街をつくる」ことを実証した。

近年には東京にも進出、「べこたん」「飯場」などに続いて15年6月に芝大門に鶏ちゃん焼の店「ねじべえ」をオープン。今年4月、浜松町に初の大型店「第八飯場丸」をオープンし、話題沸騰中だ。現在、「飯場」五店舗、牛タン料理「べこたん」三店舗、ラーメン、洋食など多業態約二一店舗を展開している。

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