この一品が客を呼ぶラーメン編・東京:「和風中華だるまや」高菜そば

2004.11.01 293号 9面

ファッションビルや若者向けのショップが建ち並ぶ表参道・青山界隈にあって、ひときわ目を引く土蔵造りのたたずまい。「和風中華の店 だるまや」は、創業以来変わらぬスタイルと味を守り続け、OLやサラリーマン、地元客のファンに愛されている。そんなだるまやでは、一風変わった食べ方をするラーメンがあるとか。いったいそれはいかなるラーメンなのか。期待を胸に訪ねてみた。

表参道にほど近い路地の一角にたたずむだるまやは、倉敷の土蔵造りをイメージしたという趣のある店構え。木の温もりを生かした店内も、落ち着ける雰囲気だ。今でこそこうした古民家風のラーメン店も少なくはないが、三〇年前の開店当初はまだ珍しく、奇異な目で見られたこともあったとか。

ユニークな発想はメニュー作りにもいかんなく発揮された。それが現在もだるまやの中心メニューであるラーメンシリーズだ。

「だるまそば」(七〇〇円)をはじめ、「高菜そば」(八〇〇円)、「角煮そば」(八〇〇円)、「豆腐そば」(八〇〇円)、「かやくそば」など、いずれも和風のスープをベースにしたラーメンだが、ユニークなのは麺と具を別々に出すところだ。

「お客さまのお好みで、自由に食べていただきたいんです」と店長代理の大山徹さん。最初にスープをひと口、そしてラーメンをひと口、それから具を少しずつ麺にのせて食べていくというのが基本スタイルだが、中にはビールのつまみに具だけ先に注文し、飲み終えるころに麺を頼む人もいるそうだ。

スープは野菜や削り節を中心にだしをとったあっさり系で、具の味を引き立てこそすれ殺すことはない。地元の常連客をはじめ、近隣の会社員や若者客など、リピーターが多いのもうなずける。

一番人気は高菜そば。具は高菜の漬け物にピーマン、タケノコ、モヤシ、ワカメ、豚肉を合わせてさっと炒め、特製の醤油で軽く味付けしたもの。高菜自体の酸味が全体の味を引き締めている。卵をたっぷり練りこんだまろやかな麺に、シャキシャキした具材がマッチしている。

高菜そばはもちろん、いずれのメニューもヘルシー志向で、これも幅広い客層に支持される一因だろう。

◆和風中華 だるまや(東京都港区南青山五‐九‐五、電話03・3499・6295)営業時間=午前11時~午後10時(日曜は午後9時)、無休/坪数席数=二八坪三七席/一日食数=四〇食

◆食材の決め手 「酒粕」 月桂冠(株)(京都市伏見区)

高菜漬けといえば九州を代表する漬け物だが、だるまやで使用するのは昭和28年創業の前田食品工業。高菜は国産品種に限定し、土作りから収穫まで一貫して自家栽培を守り続けている。

だるまやが使用する高菜漬けは、昭和36年に全国漬け物展示品評会で農林大臣賞を受賞した逸品。一斗缶入りの高菜漬けを四~五日で使い切ってしまうそうだ。一度塩抜きしたものを、ざく切りにして料理に使用。高菜そばのほかに高菜チャーハンにも使っている。

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