クセなく魅力の“ベジタブルミート”ダチョウ肉 ヘルシーニーズに合致

2004.12.06 294号 15面

「ベジタブルミート」は、牛や豚や鶏のように多量の穀物飼料を必要とせず、雑草や野菜くずを食べて約一年の成長で二mに育つダチョウの別名である。鳥インフルエンザやBSE(牛海綿状脳症)、豚コレラなど相次ぐ輸入肉の事件から輸入肉の安全確保・安定供給が難しくなっている中で、四二都道府県で飼養四〇三件、飼養羽数約九八〇〇羽(二〇〇三年度)と、ダチョウは鶏、豚、牛に続く第四の家畜として注目され、大手スーパーの店頭にもお目見えするようになってきた。

日本オーストリッチ協議会(JOC、電話03・3833・3730)によると、ダチョウは南アフリカに生息するが、人工ふ化技術とダチョウの生命力の強さから今では世界で飼育されており、一九九四年に北海道東藻琴村に産業用ダチョウ飼育が導入されたのが、日本におけるダチョウの産業元年とされている。九六年には農林水産省の全国飼養状況調査が始まり、産業化が本格的にスタートした。

脂身が少なく淡泊なダチョウ肉は良質のタンパク質、鉄分、ミネラルを豊富に含み、低カロリー、低脂肪、低コレステロールで、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸のバランスがよく、必須アミノ酸であるオレイン酸、リノール酸を多く含む。

このダチョウ、少量の国内産飼料で育成が可能で、妊娠・ふ化日数は四二日(牛は二八〇日)、と畜までの飼育日数は一二ヵ月(同三〇ヵ月)。エサの栄養効率は牛と比較して一〇倍ともいわれ、産卵寿命は一〇年以上。一羽のメスが年間に卵を約四〇個生み、利用価値の高い副産物(皮、油、羽根、卵など)もあることから、第四の家畜として飼育農家が増えている。

日本では現在、北海道、長野、茨城、岐阜など全国約四〇〇ヵ所で一万羽を超えるダチョウが飼われている。そして国内で飼育者が増え、孵化センターや解体処理場などもJOCの基準のもとにでき、新鮮なダチョウ肉の流通が始まっている。

9月に横浜元町の仏蘭西料亭「霧笛楼」で一般消費者を対象にした「オーストリッチミート料理」の料理講習会が行われた。総料理長の今平氏は「肉にクセがなくヘルシーで、どんな料理にも合う。お客さまはおいしく、ヘルシーに健康でというニーズが高いので、レストランのメニューにも利用しています。お客さまの反応は良いです」と、ヘルシー・健康というキーワードを協調した。

当日のダチョウ肉料理は「もも肉のタタキ風サラダ仕立て」「筋ブロック肉の上品なコンソメスープ」「レバー肉のソテー」「フィレ肉のカツレツ チーズ焼き」。家庭のどんな料理にも利用しやすいという。

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