大黒工業のエコロジー提案「パルプモールドパッケージ」:ビニール袋が余る現象
テークアウト市場の成熟化にともない、料理を演出する包材(容器)も急速に進化している。エコロジー志向の「パルプモールド容器」もその一つ。「使い捨て前提だからこそ環境に配慮した包材を」という販売モラルの向上に貢献するほか、手に持った温かみある感触は消費者からも好評だ。パルプモールド容器の活用事例を紹介する。
◆Ryukyu Wave
東京は千代田区有楽町、東京フォーラム・ネオ屋台村の「Ryukyu Wave」は、ランチタイムに一日一〇〇食前後を売上げる、沖縄料理の移動販売店。人気料理の好感度アップにパルプモールドの容器とスプーンが大きく貢献している。
「パルプモールドは、とにかく見栄えがかわいい。温かみのある手触りもお気に入り。機能性とファッション性のメリットはコスト比較で余りありますね」と店主の堀田百合子さん。開店時の二年前から愛用している。
また、パルプモールドで提供すると、興味深い現象が起こるという。
「ほかの店舗に比べて、持ち帰り用のビニール袋が減らないんです。渡してもゴミになるからと返されてしまうケースが増えています」
「開店当初は、一〇〇食売れたらビニール袋も一〇〇袋減りましたが、いまや一〇〇食に対し三〇~四〇袋ほど。お客さまの環境意識の高まりを実感しますね」とほほ笑む。
堀田さんは、沖縄・八重山諸島の大自然と温かい島の人たちのとりこになり、学生時代から通いつめた。民宿の手伝いをしながら習った「身体に良くて、おいしい沖縄料理を都会のみんなにも食べてもらいたい」と移動販売を決心した。
西表島の黒砂糖と泡盛で煮込んだラフティ(豚の角煮)丼や、沖縄モズク、コーニバ(ヨモギ)のジューシー(炊き込みご飯)など、現地の食材を使って日替わりで郷土の味を提供している。
「パルプモールドの材質には、サトウキビも多く使われているので、沖縄料理を包むのに打ってつけです」と堀田さん。
イベントやオフィス街からの出店依頼が絶えず、来月、二店舗目を構える予定だ。
◆「Ryukyu Wave」(営業場所=東京都千代田区の東京国際フォーラムなど日替わりで移動販売)
◆駅弁釜飯で記録的ヒット ナルホットシリーズ「Nかまど」 プラネット(株)/フクビ化学工業(株)
ここ半年、熱々の駅弁釜飯が急増している。それまでは数えるほどしかなかったが、いまや事業者数三〇社・五〇アイテムを突破。勢いは止まらない。この空前の大ヒットを仕掛けたのが、プラネット(株)の加熱機能付き容器・ナルホットシリーズ「Nかまど」だ。
「ナルホット」シリーズは、付属のひもを引くと生石灰と水が化学反応を起こして発熱し、短時間で料理を加温するもの。その釜飯タイプ「Nかまど」が昨年9月に登場。従来の機能性はもとより、釜飯のイメージを訴求する表容器の材質・パルプモールドの風合いが人気に火をつけた。
「パルプモールドの素朴な風合いと手触りが“癒やし”を演出。ナルホットの潜在需要を喚起しました」と包装資材事業部チームリーダーの水戸部登氏。「これらの釜飯は駅弁大会のイベントで引っ張りだこ。飛ぶように売れている」と意気込む。
冷たい料理が当たり前だった駅弁市場や弁当市場に、「温かいともっとおいしい」という、本質的な消費者ニーズに対応する“熱弁”として、大きな波紋を投げかけそうだ。
▽問い合わせ=プラネット(株)包装資材事業部(東京都港区、電話03・6234・3156)
◇天然素材容器「パルプモールドパッケージ」とは?
世界に豊富なアシ、ケナフ、サトウキビなど、非木材紙を原料とする自然素材容器。製造工程でダイオキシンの発生が皆無など環境配慮に徹している。電子レンジ対応で身体に安全。土に戻る素材だから焼却、廃棄も安心。温かみある感触、メニューを優しく包むシンプル設計で、健康・手作り志向を演出する容器として好評。
▽パルプモールドについての問い合わせ先=大黒工業(株)(東京都台東区、電話03・3845・5677)